7つの予想:2021年、世界は(おそらく)こうなる
今年注目すべきポイントは、この上もなく明瞭です。すなわち、「世界がコロナウイルスに打ち勝った年」にできるか否か、に尽きるでしょう。しかし、その成否や道筋は、気が滅入るほどに不確実です。
そのため今年も、世界経済や金融市場は、不安定な場面が多くなりそうです。以下の予想も、全て当たるとは保証できません。とはいえ、これらの予想が依拠するポイントは、総じて明瞭です。リスクに備える上でも、それらを把握しておくのは重要です。よって、このような予想も、無駄ではありません。
(世界経済と金融市場などに関する今年の予想)
- プラス成長へ:昨年ひどく落ち込んだ後(図表1)、今年の世界経済がプラス成長に転じるのは、ほぼ確実と言えます。ただ、プラス幅は、コロナウイルスの感染・収束動向に大きく左右されます。
- 厳格なロックダウンは回避:それでも、世界が再びマイナス成長に陥る可能性は、極めて低いでしょう。日本などは事実上、「経済を回す」のを感染抑止よりも優先しています。また、複数国で、ワクチンの接種が始まりました(図表2)。したがって、昨年春に欧州などが行ったような厳しいロックダウンを、日米などが導入するとは考えにくく、世界経済は徐々に正常化へ向かうはずです。
- ワクチンの十分な普及は年後半:ただし、感染収束には、人口の約6割以上がワクチンなどで免疫を持つ必要があるとみられます。ワクチンの生産・配布の難しさを踏まえると、それが主要国で十分普及し、有効性が(あるいは効果の弱さが)明確になるのは、今年後半以降と見込まれます。
- 五輪開催は困難:そうした日程に鑑みれば、今年夏の東京五輪開催は困難、と認めざるを得ません。
- 日米株価は上昇:五輪中止(または延期)は自然な結論なので、それに驚く人は少ないはずです。よって、これによる日本株への影響は限定的とみられます。日本株は、基本的に、米国株に追随した動きが予想されます。そして米国株は、今年も特に前半は、経済の正常化期待を背景に、上昇を見込んでよさそうです。仮にワクチン期待が失望に変わるとしても、それは今年後半でしょう。
- 債券利回りは若干上昇:ただし、正常化とは、いまの債券市場では、金利上昇を含意します。日米欧など各国の国債利回りは、現在、金融緩和で異常な低水準に抑えられています。よって、景気回復に伴いそれが若干上昇するのは、まさしく正常化の動きです。ただ、注視すべきは、そのペースです。利回りの大幅上昇は、債券の魅力を高め、株価の下落を引き起こす恐れがあるためです。
- 為替は円高へ:さらに、正常化は、ドル安・円高を意味します。アベノミクスは過去のものですが、そのもとでの金融緩和などで、円は過小評価されたままです。しかし、日銀の追加緩和余地は小さいので、1ドル=100円程度の円高には(足元103.2円付近)、備える必要がありそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融市場の注目材料を取り上げつつ、表面的な現象の底流にある世界経済の構造変化を多角的にとらえ、これを分かりやすく記述します。
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