来週の金融市場見通し(2018年10月29日~2018年11月2日)

2018/10/26

■来週の見通し

一旦下げ止まった内外の株式市場でしたが、24日にはNYダウは608ドル安、日経平均株価も25日には822円安となるなど、再び不安定な動きになっています。欧州中央銀行(ECB)理事会は、量的緩和の年内終了の方針を維持。来週は、11月4日に再開される米国の対イラン制裁や6日の米中間選挙を控え、神経質な動きが続きそうです。黒田日銀総裁の記者会見、週末の米雇用統計も確認したいところです。

◆株価 : 買戻し主導で反発か

日本株は反発の動きが予想されます。日経平均株価は今月、米ハイテク株の急落などを受け3千円程度も下落しています。しかし米国景気は堅調で、7-9月期企業決算も全体では大幅増益となりそうです。よって米国株や日本株は売られすぎとみられ、買戻し主導の反発が見込まれます。ただ、日米企業業績の先行きに関し不安が浮上していることや、最近の株価急落で投資家が慎重になっていることから、日本株の上値は限定的とみられます。

◆長期金利 : 日銀のオペの運営にらみ

長期金利は26日には一時0.105%と9月13日以来の低水準を付けました。23日に日銀が開いた「市場調節に関する懇談会」では、国債買入れオペの運用見直しの具体的な話はなかった模様で、金利の先高観測が後退したこと、株価急落で安全資産とされる国債を買う動きが強まったことなどが背景。31日発表の「当面の長期国債等の買入れの運営について」で、国債買入れオペの買入れ額や回数などが変更されるかどうかが注目されます。

◆為替 : ドル高地合いも調整継続か

堅調な米国景気を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は12月に利上げを実施すると思われ、米長期金利は3.1%近辺で高止まりしています。したがって基本的にはドル円は底堅い動きとなるでしょう。しかし、米中貿易摩擦やサウジアラビア問題などのリスク要因に加え、これまで上昇してきた日米株価が大幅な調整局面にあることなどから、しばらくはドル円も114円を上限にポジション調整中心の動きとなりそうです。

◆Jリート : 底堅い動きが継続

東証REIT指数は、小幅に下落しました。日経平均株価が23日には604円(2.67%)安、25日には822円(3.72%)安と急落しましたが、東証REIT指数はそれぞれ0.54%安、0.53%安と、小幅な下落にとどまりました。長期金利の低下を受け、相対的に高い利回りに着目した買いが支えた模様です。来週も内外の金融市場は神経質な展開が見込まれますが、安定した分配金利回りが期待できるJリートは、引き続き底堅く推移しそうです。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 10月31日(水)午後に結果発表

今回の会合では、金融政策の現状維持が決まる見込みです。日銀の目標である2%のインフレ率には程遠い情勢ですが、すでに日銀は物価目標に対し長期戦で臨む姿勢です。ただ、金融市場では足元、株価が軟調となっているほか長期金利上昇への警戒感もあります。また、世界的な貿易摩擦や来年の消費税率引上げによる消費支出への影響も懸念されます。今回の会合や総裁会見、および「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、それらの問題に対しどのような見解が示されるかが注目されます。

米雇用統計(10月) 11月2日(金)午後9時30分発表

9月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比13万4,000人増と大きく市場予想を下回る一方、失業率は1969年12月以来の低水準である3.7%となりました。また、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比2.8%増となり、先月より若干伸びが鈍化しました。

米国は個人消費を中心に景気拡大が継続しています。労働市場では雇用が労働力人口を上回るペースで伸びており、完全雇用の状態であると言えるでしょう。10月の非農業部門就業者数は前月比19万人程度の増加、失業率は3.7%、平均時給は前年比2.8%増程度を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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