来週の金融市場見通し(2025年11月24日~2025年11月28日)
■来週の見通し
11月12日まで続いた米連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、11月の米雇用統計の発表日が12月16日と、米連邦公開市場委員会(FOMC、9~10日)後の発表となりました。主要データが十分にそろわないことから、12月会合での利下げは見送りになるだろうとの見方が広がっています。国内では政府が21日、物価高対策などを柱とする財政支出21.3兆円の総合経済対策を閣議決定しました。来週は、内外の経済指標に加え、日銀の野口審議委員の経済懇談会での発言なども確認しながら居所を探ることになりそうです。
◆株価 :米経済指標発表に注目
今週の日本株は、不安定な動きのなか、下落しました。20日に控えたエヌビディアの決算発表への警戒感から、週前半は軟調な動きとなりました。20日のエヌビディアの決算発表が、人工知能(AI)需要の拡大を背景に好決算となったことを受けて、同日の株価は大きく反発しましたが、21日には、過熱感が意識され、売りが優勢となりました。
来週は、小売売上高や消費者信頼感指数などの消費関連の米国の経済指標発表が注目されます。12月のFOMCでの利下げについて、市場では見方が割れていますが、これらの統計を受けて、市場の見方が変わると、株価の変動要因となりそうです。AI関連株に対する高値警戒感がくすぶっており、来週も神経質な動きが続く可能性があります。
◆長期金利 :居所を探る
今週の長期金利は上昇しました。高市政権の打ち出す経済対策が財政悪化につながるとの警戒感が広がったことに加え、米連邦準備理事会(FRB)高官から政策金利の引き下げに慎重な発言が続いたことから、20日には1.8%前半と、17年半ぶりの水準まで上昇しました。ただ、21日に大規模な総合経済対策が閣議決定されましたが、押し目買いも入り1.80%を下回りました。
来週は、一進一退の動きを予想します。日銀の利上げ観測や財政悪化懸念に加え、FRBが12月の会合で利上げを見送るとの見方は、国内金利の押し上げ圧力です。もっとも、超長期債利回りの上昇が一服したことに加え、長期金利は17年半ぶりの水準まで上昇しており、一段の上昇は限定的となりそうです。野口委員の発言や、40年国債、2年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :不安定な値動きか
今週のJリート市場は、不安定な値動きの中、概ね横ばいで推移しました。米半導体株の下落を受けた株安や、財政悪化懸念による長期金利の上昇などが下落要因となったものの、下落した局面では下値を拾う買いなどが下支えとなり、底堅く推移しました。今週末の分配金利回りは4.503%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、日米の金融政策や長期金利の動向、日米株式市場の値動きなどをにらみつつ、不安定な値動きが継続することが想定されます。引き続き一定の戻り売りが見込まれるほか、米国株式市場の動向次第で市場のリスク回避圧力が強まる可能性があります。一方、値下がりした局面では下値を拾う買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:為替介入への警戒感から上値は重い
今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。高市政権下での経済対策の規模が21.3兆円にのぼることなどを受け、日本の財政悪化懸念が強まり、円売りの動きが加速しました。また、10月のFOMC議事録で、12月会合での追加利下げについて、多くの参加者が慎重な姿勢を示していたことが明らかになったことも、ドル高圧力となりました。週末にかけては、1ドル=157円台と、約10か月ぶりのドル高・円安水準に達しました。
来週のドル円相場は、為替介入への警戒感が強まるなかで、上値の重い展開が予想されます。片山財務相は、為替介入の可能性を示唆するなど、足元の急激な円安進行をけん制しています。ただし、日米の金融政策については、ともに12月会合では現状維持という見方が強まるなかで、ドル安・円高の進行は限られるとみられます。
◆米国株 :米経済指標発表に注目
今週の米国株は、軟調な動きとなりました。20日に控えたエヌビディアの決算発表への警戒感から、週前半は軟調な動きとなりました。エヌビディアの決算は好調でしたが、市場のAI関連株への高値警戒感は払拭されず、週を通じて軟調な動きが続きました。また、10月のFOMC議事要旨で12月の利下げに慎重な意見が多いことが明らかになったことも、株価を押し下げました。
来週は、小売売上高や消費者信頼感指数などの消費関連の経済指標発表が注目されます。12月のFOMCでの利下げについて、市場では見方が割れていますが、これらの統計を受けて、市場の見方が変わると、株価の変動要因となりそうです。AI関連株に対する高値警戒感がくすぶっており、来週も神経質な動きが続く可能性があります。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(11月) 11月28日(金)発表
10月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.8%上昇と、前月から伸びが拡大しました。食料品価格の高止まりが続いたほか、東京都での水道の基本料金無償化が終了したことで、水道料が大幅に上昇しました。
11月のコアCPIの伸びは、やや鈍化する見通しです。エネルギー価格の伸びが鈍化するほか、食料品の値上げの動きが一服することが予想されます。ただし、足元で為替が円安方向で推移しているため、来年以降は輸入コストの上振れに起因するインフレ圧力が再び強まるリスクがあります。
米消費者信頼感指数(11月) 11月26日(水)発表
10月の米国の消費者信頼感指数は94.6と、3か月連続で低下しました。米国の関税政策による影響が懸念されたほか、政府閉鎖の長期化が消費者マインドの重しとなりました。
11月の消費者信頼感指数は持ち直す見込みです。米中貿易協議の合意などにより、関税政策を巡る不確実性が後退したことに加えて、政府機関の再開も消費者マインドを押し上げることが予想されます。
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