来週の金融市場見通し(2025年6月30日~2025年7月4日)

■来週の見通し

イスラエルとイランの停戦が発表、維持され、中東情勢の混乱に歯止めがかかっています。イランの核開発計画の放棄をめぐり、トランプ米大統領は来週協議するとしており、何らかの合意が結ばれるとさらに安心感が広がる可能性があります。他方、トランプ氏が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長の早期指名を検討しており、利下げに前向きな人物が次期議長になるとの見方が広がっています。来週は、各国と米国との通商交渉や中東情勢などを確認しながら、週末の米雇用統計を待つことになりそうです。

 

◆株価 :上値の重い動きか

今週の日本株は、堅調な動きとなりました。トランプ大統領がイスラエルとイランの停戦が成立したと発表したことで投資家心理が改善したほか、海外投資家や事業法人の資金流入が相場を押し上げたとみられます。米国の半導体株が大きく上昇したことが波及し、国内の主力半導体を物色する動きが強まったことも株価を押し上げました。

来週は、高値警戒感から上値の重い動きになりそうです。最近の株価上昇を受けて、個人投資家の利益確定売りが増えることが予想され、株価の上値を抑えるとみられます。来週は、雇用統計など米国で重要な経済指標発表が予定されており、発表後は値動きが荒くなる可能性があります。一方、米国で減税法案の成立の可能性が高まると、株価が一段と上昇する展開も想定されます。

 

◆長期金利 :居所を探る

今週の長期金利は、上昇する動きになりました。原油価格が急騰したことを受け、長期金利は上昇して始まりました。ただ、イスラエルとイランの停戦合意を受け、原油価格が下落に転じたことや、パウエルFRB議長が年内の利下げを示唆したことから、再び1.4%を割り込む動きになりました。その後は、株高を受けて安全資産とされる国債を売る動きが広がり、1.4%台を回復しました。

来週は居所を探る展開を予想します。日銀が追加利上げを急がない姿勢を示していることや、年内の米利下げが意識されていることは、国内金利の押し下げ材料です。もっとも、中東情勢への警戒が一段と後退した場合には、投資家心理が上向き、国内金利を押し上げる可能性があります。財政拡張への警戒も金利低下を抑制しそうです。10年国債、30年国債入札も確認したいところです。

 

◆Jリート :上値は重いか

今週のJリート市場は、概ね横ばいで推移しました。東証REIT指数(配当なし)1,800ポイント付近では戻り売りが見られたものの、底堅く推移しました。今週末の分配金利回りは4.885%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。

来週は、日米長期金利や日米貿易協議、米相互関税の停止措置の動向をにらみながら、上値の重い展開を想定しています。米中貿易協議では、米高官が5月に合意した貿易枠組みについて正式に署名し、合意が成立したことを明らかにした一方、日米貿易協議は来週の協議で合意に至るかは不透明な状況です。来週も一定の戻り売りが出ることが想定されますが、4%台後半の予想分配金利回りに着目した一定の買いが引き続きJリートを下支えすることが期待されます。

 

◆為替:円高含みも値動きは限定的

今週のドル円相場は、米軍によるイランの核施設の攻撃を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まったことで、円安が進行して始まりました。一時は1ドル=148円近くに達しましたが、その後は、イスラエルとイランの停戦合意や、FRB高官の発言により7月会合での利下げが意識されたことを受け、値を戻す動きとなりました。

来週は、金融政策を巡る思惑から、ややドル安・円高に振れやすい展開が予想されます。日銀とFRBは当面様子見姿勢を維持するという見方がコンセンサスになっていますが、日銀高官の発言や米雇用統計の結果を受けて、早期の政策変更の織り込みが強まる可能性があります。もっとも、7月9日に相互関税の上乗せ部分の猶予期限を控えるなかで、値動きは限定的となりそうです。

 

◆米国株 :値動きの激しい展開か

今週の米国株は、堅調な動きとなりました。トランプ大統領がイスラエルとイランの停戦が成立したと発表したことで投資家心理が改善したほか、米長期金利が低下したことが相場を押し上げました。半導体関連株は、アナリストが株価予想を引き上げたことをきっかけにエヌビディアが大きく上昇したことやマイクロンの決算が市場予想を上回る内容となったことが支えとなり、堅調な動きとなりました。

来週は、米経済指標発表や減税法案成立に向けた動きが相場を動かす材料となりそうです。ISM製造業景況指数や雇用統計の発表後は、値動きが荒くなる可能性があります。また、与党共和党は7月4日までの減税法案の成立を目指しており、同法案の成立の可能性が高まると、株価の押し上げ要因となりそうです。

 

 

来週の注目点

日銀短観(6月調査) 7月1日(火)発表

日銀短観の2025年3月調査では、大企業・全産業の業況判断DI(ディフュージョン・インデックス、業況が「良い」と答えた企業の割合-「悪い」と答えた企業の割合)は+23%ポイントと、前回調査から横ばいとなりました。米国の関税政策を巡る不透明感や海外経済の減速などを背景に製造業の景況感は4四半期ぶりに悪化した一方、非製造業は価格転嫁の進展などを受けて改善しました。

2025年6月調査の業況判断DIは低下が見込まれます。非製造業は底堅く推移する一方、製造業では、米政権により品目別の高い関税が課されている自動車や非鉄金属などの景況感が大幅に悪化する可能性があります。

 

米雇用統計(6月) 7月3日(木)発表

米雇用統計によると、5月の非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人増と、市場予想を上回る結果でした。トランプ政権下で進められている連邦政府職員削減の影響で政府部門の雇用者数は減少に転じた一方、サービス業を中心に民間部門が底堅く推移しました。失業率は4.2%、平均時給は前年比3.9%増と、ともに前月から横ばいとなりました。

6月の非農業部門雇用者数は前月差+11.6万人増、失業率は4.3%、平均時給は前年比+3.9%増程度を想定しています。米政権の関税政策を巡る不透明感は依然として強いものの、レイオフに踏み切る動きは限定的であることから、雇用環境の急速な悪化は避けられると想定されます。

 

 

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