来週の金融市場見通し(2025年1月20日~2025年1月24日)
■来週の見通し
日銀の正副総裁が1月の会合で「利上げを行うかどうか議論して判断する」と述べたことを受け、1月利上げの確度が高くなってきています。他方、12月の米消費者物価指数(CPI)の食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが市場予想を下回ったことなどを受け、米国のインフレ再加速に対する過度な懸念が後退しました。来週は20日にトランプ米次期大統領の就任式があるほか、国内主要企業の決算発表が本格化します。日銀金融政策決定会合なども確認しながらの、やや神経質な動きが続く可能性があります。
◆株価 :好調な米決算や金利低下が支えに
今週発表された米企業決算は、大手金融機関を中心に好決算が相次ぎました。来週予定されている半導体関連や消費関連企業の決算も好調な内容になれば、米国株を押し上げ、日本株にも追い風となることが予想されます。また、米CPIでコア指数の伸びが市場予想を下回ったことなどを受けて、内外の金利が低下したことも好材料です。ただ、20日に発足するトランプ政権が関税引き上げを決めると市場は嫌気する恐れがあり、警戒が必要です。
◆長期金利 :利上げは織り込み済みか
日銀の正副総裁の発言を受けて、1月会合での利上げ観測が強まり、長期金利は一時1.2%台半ばまで上昇しました。ただ、米生産者物価指数(PPI)に続き、米CPIのコア指数の伸びも予想を下回り、米金利が低下したことを受け、1.2%前後まで低下する動きになりました。日銀の利上げは織り込み済みで影響は限定的とみられます。とはいえ、トランプ氏の就任初日からの言動で米市場が荒れた動きになることには注意が必要です。
◆為替:方向感見定めにくい
ドル円は、方向感の見定めにくい展開となりそうです。12月の米CPIが物価上昇圧力の緩やかな低下を示唆したものの、依然堅調な米景気やトランプ次期大統領の政策がインフレを喚起するとの見方がドル買い要因となっています。他方、日銀が1月の政策決定会合で、利上げを実施するとの観測が高まっていることは、円を下支えしそうです。来週はこれら二つの要因の綱引き状態が続くことで、ドル円は方向感の見定めにくい展開が見込まれます。
◆Jリート :動きづらい環境か
Jリート市場は、トランプ新政権の発足や日銀の金融政策決定会合を控え、方向感が見出しにくく動きづらい状況になることが見込まれます。足元、米長期金利の上昇は一旦落ち着いたものの、日銀正副総裁の日銀1月会合に向けた発言を受け、同会合における追加利上げの可能性が急速に高まっています。今後の方向感を見出すうえで、大統領就任後のトランプ氏の発言や日銀の金融政策のスタンスをめぐる植田総裁の発言に注目です。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(12月) 1月24日(金)発表
11月の全国・コア消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.7%上昇と、前月(同2.3%)から加速しました。政府による電気・ガス代補助の縮小を受けてエネルギー価格が押し上げられたほか、食料品の値上げも続きました。
12月のコアCPIは一段と加速することが見込まれます。電気・ガス代補助の終了により、エネルギー価格が一段と上昇することに加え、賃金コストの上昇を価格転嫁する動きが続くと見込まれます。
ユーロ圏製造業PMI(1月、速報値) 1月24日(金)発表
12月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は45.1と2か月連続で低下し、好不調の境目となる50を下回る状況が続いています。中国経済の減速やエネルギー価格の高騰などを受けて、ドイツを中心に景況感が悪化しています。
1月の製造業PMIも低迷が続くと見込まれます。欧州中央銀行(ECB)の利下げによる内需の押し上げ効果が期待されますが、中国経済の回復には時間を要するとみられることなどから、製造業の調整局面は長引く可能性があります。
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