来週の金融市場見通し(2024年12月16日~2024年12月20日)
■来週の見通し
11月の米消費者物価指数(CPI)は予想どおりだったものの、米生産者物価指数(PPI)は予想を上回りました。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定するとの見方は変わっていません。他方、日銀は利上げを急ぐつもりはなく、来週の日銀金融政策決定会合で金利を据え置く方向に傾いているとの報道などから、一時強まった利上げ観測は大きく後退しています。来週のFOMC、日銀金融政策決定会合を確認すると、年末モードに入っていきそうです。
◆株価 :荒い値動きか
来週の日本株は、日米の金融政策に関する会合を受けて、荒い値動きが見込まれます。市場では、日銀は利上げを見送るとの見方が強まっていますが、予想外に利上げが決まる可能性もあり、警戒が必要です。FRBは、0.25%の利下げを決める見込みですが、パウエル議長が今後の利下げに慎重な発言をすると、投資家心理を圧迫する恐れがあります。ただ、事業法人による自社株買いが高水準で継続しており、株価の下落幅は限定的となりそうです。
◆長期金利 :日米金融政策待ち
長期金利はFRBが12月利下げに踏み切るとの観測や日銀の追加利上げ観測後退は押下げ材料も、中国当局による財政政策や金融緩和策への期待から、同国経済が持ち直すとの見方が広がったことを背景に安全資産とされる国債を買う動きも弱まり、1.05%を挟んだ一進一退の動きが続きました。FOMC、日銀会合までは様子見、パウエルFRB議長、植田日銀総裁の発言などを確認しながら、今後の方向感を探ることになりそうです。
◆為替:方向感見出しにくい
ドル円は、レンジ内で方向感の見出しにくい展開が想定されます。FRB高官から、利下げは慎重に行うのが望ましい等の発言が散見されるものの、12月の米利下げ観測は根強く、ドル円の上値は重そうです。他方、足元、ドル円が安定推移していることなどから、いったん日銀の12月利上げ観測は後退しており、ドル円の下支え要因となりそうです。当面は、日米金融政策の行方を探りながら、狭いレンジ内で方向感の乏しい動きが続きそうです。
◆Jリート :変動性が高まる可能性
来週のJリート市場は、日米中央銀行の金融政策決定会合の結果を受け、変動性の高い市場環境となることが想定されます。12月のFOMCでは追加利下げが見込まれる一方、日銀は追加利上げを見送るとの観測が高まっており、予想通りの結果となれば市場では好感されることが見込まれます。日銀が追加利上げを決定した場合は、東証REIT指数(配当なし)が8月に付けた年初来安値(1621.75ポイント)を割り込む可能性もあります。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(11月) 12月20日(金)発表
10月の全国・コア消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.3%上昇と、前月(同2.4%)から減速しました。コメを中心とする食料品やサービス品目では価格の伸びが拡大しましたが、エネルギー価格の伸びが縮小しました。
11月のコアCPIは伸びが拡大すると見込まれます。政府による電気・ガス代の負担軽減策の縮小によりエネルギー価格が再び加速するほか、賃金コストの上昇を価格転嫁する動きが続くと見込まれます。
米個人所得・個人消費支出(11月) 12月20日(金)発表
10月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増加しました。また、PCE総合価格指数は前年比2.3%、食料とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.8%と、ともに前月から加速しましたが、市場予想通りの結果でした。
11月のPCEは前月比0.5%増程度、総合価格指数は前年比2.5%程度、コア価格指数は同2.9%程度の伸びが想定されます。底堅い雇用環境が下支えとなり、個人消費は増加が続くほか、インフレ圧力の根強さが示される可能性があります。
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