来週の金融市場見通し(2024年11月18日~2024年11月22日)

■来週の見通し

米国では赤をシンボルカラーとする共和党が大統領選に勝利したことに加え、上下両院で多数を握る「トリプルレッド」が確実となり、トランプ次期大統領が掲げる政策を進めやすくなる体制が整うことになりました。他方、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「経済は良好で、利下げを急ぐ必要はない」と述べたことを受け、利下げペースが緩やかになるとの見方が広がりました。来週は、トランプ政権の閣僚人事に加え、全国消費者物価指数(CPI)なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値の重い動きが継続

今週の日本株は円安が進行するなかでも、上値の重い動きが続きました。個人投資家が東証プライム市場で、約7千億円売り越すなど、日本株の需給が悪化していることが背景とみられます。日銀の追加利上げの可能性や国内政治の不安定化が重しとなり、個人投資家は日本株への投資に引き続き慎重になることが予想され、来週も上値の重い動きが予想されます。ただ、事業法人による自社株買いが支えとなり、下落幅は限定的になるとみられます。

◆長期金利 :居所を探る

米国で財政拡大やインフレ圧力を高める政策が進むとの見方が強まったことに加え、米利下げペースが緩やかになるとの観測から、米長期金利が上昇したことを受け、国内の長期金利は1.0%台後半まで上昇する動きになりました。円安進行を背景に、日銀が早期に追加利上げに踏み切るとの織り込みも進んでいます。来週は米金利の動向に加え、全国消費者物価指数、20年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替:堅調な動き

ドル円は、堅調な動きとなりそうです。米大統領選挙の結果は相応に消化されたとみられる一方、米インフレ鎮静化の停滞と景気の堅調さを示唆する指標が散見されていることから、米長期金利は4.5%程度の水準まで上昇しています。そのような環境下、ドル円の堅調地合いに変化はなさそうです。とはいえ、ドル上昇の勢いが加速した場合は、日本政府高官からの円安けん制発言なども想定され、ドル円の上値を抑えそうです。

◆Jリート :下値の目途を探る

来週のJリート市場は、日米の長期金利の上昇を受け、下値の目途を探る展開が想定されます。自公連立政権と積極財政を掲げる国民民主党の政策協議や、トランプ次期大統領が打ち出す政策による米国の財政悪化懸念、インフレ圧力の上昇懸念が日米長期金利を押し上げています。次の下値の目途は8月に付けた年初来安値である東証REIT指数(配当なし)1,621.75ポイントで、この水準で踏みとどまることができるのかが注目されます。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(10月) 11月22日(金)発表

9月の全国・コア消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.4%上昇と、前月(同2.8%)から減速しました。9月から政府による電気・ガス代の負担軽減策が再開したことで、エネルギー価格の伸びが大幅に抑制されました。

10月のコアCPIは、エネルギー価格の減速により、伸びが縮小することが予想されます。一方、エネルギーを除いた日銀版コアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)については、食料品やサービス品目での値上げにより、伸びが加速することが見込まれます。

ユーロ圏製造業PMI(11月、速報値) 11月22日(金)発表

10月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は46.0と、好不調の境目となる50を下回る状況が続いています。エネルギー価格の高止まりや中国経済の減速などを受けて、ドイツを中心に景況感の改善が足踏みしています。

11月の製造業PMIも低迷が続くと見込まれます。欧州中央銀行(ECB)の利下げによる内需の押し上げ効果が期待されますが、中国経済の回復には時間を要するとみられることなどから、製造業の調整局面は長引く可能性があります。

 

 

 

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