来週の金融市場見通し(2024年11月11日~2024年11月15日)
■来週の見通し
米大統領選では共和党のトランプ前大統領が勝利しました。赤をシンボルカラーとする共和党が大統領に加え、上下両院で多数を握る「トリプルレッド」になれば、政策の実現可能性が高まるとの観測が強まっています。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り政策金利を0.25%引き下げました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は利下げペースについては慎重に判断する姿勢を示しました。来週はトランプ氏の言動や米消費者物価指数などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :底堅い動きか
来週は、米大統領選挙などの重要なイベントを通過した安心感から底堅い動きとなりそうです。トランプ氏が大統領選で勝利したことを受けて、同氏が掲げる減税などの景気刺激策への期待が株価を支えそうです。また事業法人による自社株買いとみられる資金流入などが継続していることも好材料です。ただ、これまでに発表された7-9月期の国内企業決算では、市場予想を上回る内容となった企業は少なく、株価の大幅な上昇は困難とみられます。
◆長期金利 :米大統領選後の居所を探る
米大統領選でトランプ氏が勝利し、連邦議会選でも共和党が上院の多数派を握ったことから、共和党が掲げる政策の実現可能性が増し、インフレ圧力や財政悪化懸念が強まるとの見方が広がり、米長期金利が大きく上昇したことを受け、国内の長期金利も一時1%を上回りました。FOMCは予想通りで、影響は限定的でした。来週は米金利の動きに加え、30年国債、5年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替:ドル底堅い
ドル円は、底堅い地合いが継続しそうです。トランプ前大統領の政権への返り咲きが確実となったこともあり、ドル円は一時154円台に上昇しました。米長期金利が上昇基調で推移する中、ドル円は来週も底堅い展開が見込まれますが、選挙結果は織込み済となったことから、ドル円の一段の上昇余地は限定的となりそうです。また、1ドル155円を超えてくると、日本政府高官からの円安けん制発言なども想定され、ドル円の上値を抑えそうです。
◆Jリート :上下に振れる展開か
来週のJリート市場は、日米の長期金利の動向に左右される展開が想定されます。自公連立政権と積極財政を掲げる国民民主党の政策協議や、トランプ次期政権が打ち出す政策による米国の財政悪化懸念、インフレ圧力の上昇などが日米長期金利を押し上げる可能性があり注意が必要です。Jリート市場は当面外部環境に振らされる状況が想定されますが、下値ではJリートを拾う動きも見られることから、下落幅は限定的になると見込まれます。
■来週の注目点
GDP統計(24/7-9月期、1次速報) 11月15日(水)発表
4-6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率2.9%の増加と、2四半期ぶりのプラス成長となりました。一部自動車メーカーの認証不正問題を受けた出荷停止の影響が和らいだことから、個人消費や設備投資が増加に転じました。
7-9月期の成長率は大きく縮小する見込みです。賃上げや所得・住民税の定額減税により家計の所得環境は改善したものの、災害や物価上昇の影響から個人消費は力強さを欠いたとみられます。また、台風による工場の稼働停止などを受けて、設備投資は減少した可能性があります。
米小売売上高(10月) 11月15日(金)発表
9月の米国の小売売上高は前月比0.4%の増加と、市場予想を上回る伸びになりました。内訳をみると、食料・飲食や衣料品などを中心に幅広い品目で増加しました。
10月は前月比0.3%増と、増加基調が続くとみられます。高金利を背景とする借入コストの高止まりが続いていますが、雇用環境が底堅いため、個人消費は堅調を維持すると見込まれます。
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