来週の金融市場見通し(2024年8月12日~2024年8月16日)

■来週の見通し

7月の日銀会合での「主な意見」では、追加利上げにやや積極的な発言が目立ちました。ただ、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」、「追加利上げは慎重に考えるべき」との考えを示したことを受け、追加利上げへの警戒が後退しました。他方、米国ではISM非製造業景況指数が予想を上回ったことなどから、景気減速への過度な警戒が後退しています。来週は、市場の落ち着きに加え、米消費者物価指数(CPI)なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :値動きが激しい展開が継続か

今週の日経平均株価は、米経済の景気後退懸念が高まったことや円高が重しとなり、5日に史上最大の下げ幅を記録しました。ただ、その後は日銀の内田副総裁が利上げに慎重な発言をしたことなどが好感され、下げ幅を縮小しました。来週も、米消費者物価指数など米経済指標の発表を受けて、値動きが激しい展開が継続することが想定されます。ただ、国内の企業業績は堅調であるため、株価の下落幅は限定的となることが見込まれます。

◆長期金利 :一進一退

日銀の内田副総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示したことに加え、円高進行を受けて物価の上振れ懸念が後退しており、国内の長期金利の上昇は限定的とみられます。もっとも、米景気後退懸念が後退し、米金利が下がりにくくなっているとみられる中、株式市場が落ち着きを取り戻すと、国内金利を押し上げる可能性もあります。来週は5年国債入札や米CPIを受けた米金利の動向などを確認しつつ、居所を探ることになりそうです。

◆為替:上値重い

ドル円は、変動性の高い中、方向感の見定めにくい展開が見込まれます。米労働市場の悪化や日米株価の急落を受け、早期米利下げ観測が強い状況です。足元、9月、11月、12月にそれぞれ0.25%利下げなどの見方が有力です。日米金利差は縮小傾向にあり、ドル円の上値は限定的とみられます。下落が一服している日米株価が再び急落するなど、リスク回避の動きが優勢になった場合、ドル円が再び下値を模索する可能性が高い状況は来週も続きそうです。

◆Jリート :荒い値動きか

来週のJリート市場は、値動きの荒い展開を想定しています。株式市場では歴史的な暴落と急騰が矢継ぎ早に起こるなど、足元、非常に不安定な市場環境が続いていることから、リート市場も当面値動きの激しい展開となりそうです。日銀副総裁が追加利上げに慎重なスタンスを示したことは安心材料ですが、今後、米国の景気減速懸念がさらに強まる可能性もあり、市場のリスク回避的な動きには警戒が必要です。

来週の注目点

GDP統計(24/4-6月期) 8月15日(木) 8時50分発表

1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率-2.9%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。一部自動車メーカーの出荷停止の影響などを受けて、個人消費や設備投資が減少しました。

4-6月期の実質GDPはプラス成長に転じそうです。自動車の出荷停止の影響がはく落することで、個人消費は増加する見込みです。好調な企業業績などを背景に設備投資も回復することが見込まれます。

米小売売上高(7月) 8月15日(金) 21時30分発表

6月の米小売売上高は、前月比0.0%と横ばいでの推移となりました。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めなどを背景に、財消費は減速感が強まっています。

7月の米小売売上高は、前月比+0.3%と小幅ながら増加に転じると想定しています。米国では、高金利を背景とする借り入れコストの高止まりが続いていますが、底堅い雇用環境などが個人消費の支えとなりそうです。

 

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