来週の金融市場見通し(2023年11月27日~2023年12月1日)

■来週の見通し

21日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、インフレ低下の進展が不十分なら追加利上げを辞さないとの姿勢が示されましたが、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面が終了したとの市場の観測を変えるほどではありませんでした。他方、イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの戦闘を4日間休止すると伝わったことは安心材料です。来週は、10月の米個人消費支出(PCE)や日銀審議委員の講演に加え、米国の年末商戦の状況なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値の重い動きが継続か

日本株は、上値の重い展開が続きそうです。今週の日経平均株価は、一時バブル後最高値を更新した後、上値の重い動きが続いており、来週も利益確定売りに押される動きとなりそうです。また、複数のFRB高官が金融引締めの継続を強調しているなか、市場は前のめりで来年の利下げを織り込んでいますが、来週の米雇用や物価に関する指標の発表をきっかけに再びFRBの金融引締め長期化観測が高まる可能性があり注意が必要です。

◆長期金利 :一段の上昇は限定的か

年内の米利上げ観測が後退し、米長期金利が低下したことや、20年国債入札が堅調な結果だったことから、国内の長期金利は一時約2か月ぶりに0.7%を下回りました。ただ、その後は低下し過ぎとの見方や、日銀が国債購入額を減らしていることを受け、上昇する動きになりました。米国のPCE価格指数の伸び鈍化が確認されると、米金利とともに、国内の金利も下押しされる可能性があります。40年国債入札も確認したいところです。

◆為替方向感模索

ドル円は方向感の乏しい展開となりそうです。米インフレの鎮静化傾向や景気の減速を示唆する経済指標が散見される中、米利上げサイクルの終了観測が高まっており、米長期金利は4.4%程度まで低下しています。そのためドル円の現状水準からの上値は乏しそうです。とはいえ、日米の実質・名目金利差は依然、ドル円の下支え要因であり、ドル円の下落余地も限定的とみられることから、ドル円はレンジ内で方向感を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る

東証REIT指数は、1,800ポイント台前半での、一進一退の動きが続いています。利益確定売りに押される場面もあったものの、株式市場が堅調な動きとなり、投資家心理が回復したことから、前週比では若干の上昇となりました。一時5%程度まで上昇した米長期金利が4%台半ばまで、国内の長期金利が0.7%台まで低下していることは安心材料です。資産価格と比べた割安感などから、底堅い動きの中、上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(10月、速報値) 11月30日(木)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は9月に前月比0.5%上昇し、103.6(2020年=100)となりました。業種別では、自動車工業が特に増加した一方、自動車を除く輸送機械工業や生産用機械工業などが低下しました。

10月の鉱工業生産指数は、前月比で上昇が見込まれます。電子部品・デバイス工業の生産などが増加しそうです。今後については、海外景気の下振れ懸念が続いていることから、当面は緩慢な回復傾向になりそうです。

米個人消費支出(10月) 11月30日(木) 午後10時30分発表

9月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.7%増と前月より伸びが拡大しました。また、PCE総合価格指数は前年比3.4%上昇と前月並みとなった一方、注目の食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同3.7%上昇と前月より伸びが鈍化しました。

米国の個人消費は、今後も底堅く推移しそうですが、米連邦準備理事会(FRB)によるこれまでの大幅な利上げや貯蓄の減少が今後も重しとなりそうです。10月のPCEは前月比0.2%増程度、総合価格指数は前年比3.1%程度、コア指数は同3.5%程度の伸びが想定されます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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