来週の金融市場見通し(2023年11月20日~2023年11月24日)

■来週の見通し

10月の米消費者物価指数(CPI)が前月比で横ばいとなったことや、米生産者物価指数(PPI)が予想に反して低下したことなどから、米連邦準備理事会(FRB)による金融引締めが長期化するとの観測が後退しています。他方、米上院、下院が予算執行を現行水準のまま続けるつなぎ予算案を可決したことから、米政府機関の閉鎖はひとまず回避されました。来週は、10月の全国・消費者物価指数(CPI)や、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開となりそうです。今週の日経平均株価は、33,000円台半ばまで上昇しており、高値警戒感から来週は利益確定売りに押される動きが優勢となりそうです。また、米労働市場の減速観測などを背景に低下傾向にある米長期金利が、FOMC議事要旨の発表などをきっかけに、上昇に転じると市場は嫌気しそうです。ただ、11月に入ってから海外投資家は日本株を買い越しており、株価の調整は限定的となりそうです。

◆長期金利 :低下余地を探る

米金融引締めの長期化観測後退を受けて、国内の長期金利も0.7%台に低下しました。日本の7-9月期の実質国内総生産(GDP)が3四半期ぶりに前期比マイナスとなり、日銀が金融緩和策の正常化に動き難くなるとの見方も浮上しています。ただ、週末に一時0.715%まで低下しましたが、その後は低下し過ぎとの見方からか0.75%に戻る動きになりました。来週は20年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替下値模索の可能性も

ドル円は上値の重い中、方向感を欠く展開となりそうです。10月の米CPIなどのインフレ指標が米インフレの緩やかな低下を示唆したことに加え、米景気の減速を示唆する経済指標が散見されており、米長期金利は低下しています。それを受け、ドル円の上値余地は限定的となりそうです。日米金利差は依然、ドル円を下支えするとみられますが、原油価格が下落傾向となる中、米景気減速懸念が高まった場合、ドル円は下値余地模索の可能性もあります。

◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る

東証REIT指数は、株式市場が堅調な動きになり、投資家心理が上向いたことや、長期金利の低下を好感し、堅調な動きになりました。米国や国内の金利上昇が一服していることや、東京都心のオフィスの平均賃料が下げ止まりつつあることは下支え材料です。過度な米金融引締めへの警戒感が後退していることも安心材料です。引き続き、資産価格と比べた割安感などから底堅い動きが続く中、上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(10月) 11月24日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は9月に前年比2.8%上昇と、8月の同3.1%上昇から伸びが鈍化しました。エネルギー価格抑制策を受け、電気代が同24.6%下落したことなどがコアCPIを押し下げました。

10月のコアCPIも、前年比3%程度の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(11月)  11月23日(木)午後6時発表

10月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は43.1と前月の43.4から低下し、16か月連続で活動の拡大縮小の境目とされる50を下回りました。また、総合PMIも46.5と5か月連続で50を下回りました。

ユーロ圏では、引き続きロシア・ウクライナ紛争の悪影響に加え、中国景気減速や中東紛争の影響から、製造業だけでなく、今夏以降、サービス業も低迷しています。欧州中央銀行(ECB)は利上げを終了した可能性が高いものの、依然、両指数は徐々に低下することとなりそうです。

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