来週の金融市場見通し(2023年10月16日~2023年10月20日)
■来週の見通し
米連邦準備理事会 (FRB)高官から追加の金融引締めに慎重な発言が相次いだことから、年内の利上げ観測がやや後退しています。ただ、9月の米消費者物価指数(CPI)で前年同月比の伸び率が市場予想を上回ったことなどから、インフレの高止まりの可能性も意識され、米金融引締め長期化への警戒はくすぶります。来週は、緊迫している中東情勢を警戒しつつ、全国・消費者物価指数、米小売売上高などの経済指標に加え、パウエルFRB議長の講演、米企業決算なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :上値の重い展開か
日本株は、上値の重い展開が見込まれます。今週の日経平均株価は 1,000 円以上上昇しており、利益確定売りが優勢となりそうです。また、来週発表の中国の消費や投資に関する経済指標が悪化すると、株価を押し下げそうです。中東情勢をめぐる不透明感も重しになる可能性があります。とはいえ、米長期金利低下が継続すれば、投資家心理が改善しそうです。本格化する米企業の決算発表で良好な業績が示されるかも確認したいところです。
◆長期金利 :一進一退
FRB高官の発言を受け、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据置き観測が高まり、米金利が低下したことを受け、国内の長期金利も低下する動きになりました。緊迫している中東情勢を受け、安全資産とされる国債を買う動きも、金利を押し下げました。米金利上昇に対する過度な懸念は薄れつつありますが、米金融引締めの長期化観測から、一段の金利低下は限定的となりそうです。20年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :方向感模索
ドル円は、底堅い中、レンジ内で方向感を模索する展開となりそうです。足元、FRB高官からハト派発言が散見されており、米追加利上げ期待が低下しています。また、中東情勢の混乱などもあり、市場ではリスク回避の動きが優勢となっており、米長期金利はやや低下しています。それを受け、ドル円の上値は限定的となりそうです。とはいえ、日米実質金利差は依然、強固なドル円の下支え要因となっていることから、下値余地も乏しそうです。
◆Jリート :戻りを探る
米金利の低下を受けて国内の長期金利の上昇が一服したことから、不動産取得時の借入れコストの増加懸念が後退し、Jリート市場は買戻しが優勢になりました。株高を受けた投資家心理の改善もJリートを押上げました。9月の東京都心のオフィス空室率が3か月連続で低下したことは安心材料です。資産価格と比べた割安感などから底堅く推移する中、長期金利の動きなどを確認しながら、上値を探ることになりそうです。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(9月) 10月20日(金)午前8時30分発表
全国の消費者物価指数 (生鮮食品を除くコアCPI)は8月に前年比3.1%上昇と、7月と同じ上昇率でした。エネルギー価格抑制策を受け、電気代が同20.9%下落したことがコアCPIを押し下げる一方、生鮮食品を除く食料が同9.2%上昇したことがコアCPIを押し上げました。
9月のコアCPIも、前年比3%程度の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。
米小売売上高(9月) 10月17日(火)午後9時30分発表
8月の米小売売上高は、前月比0.6%増となり、4か月連続で増加しました。インフレが高止まりし、借入れコスト増が重しとなる中でも、家計の消費需要が引き続き底堅いことが示唆されました。
米国では堅調な労働市場と賃金動向を背景に、家計支出は底堅い推移が続きそうです。ただ、米追加利上げ観測は低下しているものの、信用収縮の懸念があることや、ガソリン価格の上昇が家計支出に影響をおよぼしており、今後の家計支出の動向は不透明です。9月の米小売売上高は前月比0.3%増程度を想定しています。
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