来週の金融市場見通し(2023年7月10日~2023年7月14日)
■来週の見通し
米連邦準備理事会(FRB)が利上げを見送った6月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、複数の参加者が利上げの継続を支持していたことが明らかになったことなどから、米利上げの長期化観測が強まりました。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、インフレ率は鈍化しているものの、満足できる状況ではないと述べ、追加利上げを支持する考えを示しました。来週は米雇用統計を受けた米市場の反応や、6月の米消費者物価指数(CPI)などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :やや不安定な展開に
日本株は、やや不安定な動きが見込まれます。日経平均株価は3万2千円台の高値圏で推移しており、海外金利の上昇などをきっかけに、利益確定売りに押される場面もありそうです。ただ、国内景気の拡大などを期待した海外投資家の日本株への投資意欲は根強く、株価を下支えしそうです。そうした中、7日に発表される米国の雇用統計や来週に発表される米国の物価指標の発表を受けて、やや不安定な値動きとなる可能性もありそうです。
◆長期金利 :米長期金利にらみ
長期金利は0.3%台後半での一進一退の動きが続いていましたが、30年国債入札が低調だったことや、米金融引締めが長期化するとの見方が強まり、米10年債利回りが4%に乗せたことを受け、国内の長期金利も0.4%台に上昇する動きになりました。米雇用統計や米CPIで、米金融引締めの長期化観測が一段と強まると、米金利とともに国内金利にも上昇圧力がかかる可能性があります。5年国債、20年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :一進一退
ドル円は底堅い地合いの中、一進一退の展開となりそうです。堅調な米労働市場を示唆する経済指標や複数のFRB高官のタカ派発言を背景に、7月の米利上げ観測が高まっています。日米の金融政策の方向性の違いから円は売られやすい地合いにあり、ドル円の下値余地は限定的とみられます。とはいえ、145円が一旦のドル円の上値目途とみられる中、米金利上昇を背景に、来週も日米株価の調整が続けば、ドル円の上値を抑えそうです。
◆Jリート :底堅い動きが継続
東証REIT指数は、1,800ポイント台後半を中心にしたレンジでの動きが続いています。6月の東京都心のオフィス空室率は、大規模ビルが空室を残して竣工したことなどから2か月連続で上昇しましたが、市場への影響は限定的でした。引き続き、利回り面での投資妙味や資産価格からみた割安感などから、底堅い動きが見込まれます。とはいえ、米金融引締めの長期化観測が一段と強まり、投資家心理が悪化することには注意が必要です。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(6月) 7月10日(月)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、5月に前月差0.4ポイント上昇の55.0と、4か月連続で50を上回りました。家計動向関連は横ばいとなった一方、企業動向関連については製造業を中心に上昇しました。
6月の現状判断指数は、小幅な低下が見込まれます。半導体関連投資や自動車生産の増加は企業動向関連の追い風になると見込まれる一方、原材料費等の上昇を十分に価格転嫁できないことが景況感の重しとなりそうです。また家計動向関連は、公共料金の値上がりなどによる消費の伸び悩みが景況感を圧迫する見込みです。
米消費者物価指数(6月) 7月12日(水)午後9時30分発表
5月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比4.0%の上昇と、2021年3月以来の低い伸びとなり、前月の同4.9%から鈍化しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも前年比5.3%の上昇となり、前月から伸びが鈍化しました。
米連邦準備理事会(FRB)が進めてきたこれまでの利上げや信用収縮などの影響を背景にインフレが鈍化しつつあることが示されました。引き続きサービス分野を中心に消費者の底堅い需要が見込まれるものの、インフレ鈍化の傾向は継続するとみられ、6月は総合で前年比3.1%程度、コアは同5.0%程度の伸びを想定しています。
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