来週の金融市場見通し(2023年5月29日~2023年6月2日)

■来週の見通し

米国では底堅い経済指標などに加え、米連邦準備理事会(FRB)高官から利上げ継続を求める発言が相次いでおり、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを実施するとの見方がじりじりと広がっています。他方、債務上限引上げをめぐる交渉はややこう着していますが、合意への期待が強まると安心感が広がりそうです。米利上げについてはデータ次第とみられ、米雇用統計などを確認しながら利上げ継続の有無を探ることになります。国内では法人企業統計や鉱工業生産なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。日経平均株価は約33年ぶりの高値付近で推移しており、高値警戒感が強まる中、利益確定売りが上値を抑制する見通しです。米国の追加利上げ観測が広がりつつあることも、内外の株価を圧迫しそうです。とはいえ、ドル高・円安や国内企業の好業績が日本株を下支えするとみられるほか、米国政府の債務上限問題をめぐる協議が進展した場合には、内外の株価が一時上昇する可能性もありそうです。

◆長期金利 :米長期金利にらみ

長期金利は0.40%を挟んだもみ合いが続いていましたが、週末は米長期金利の上昇を受け、一時0.4%台半ばまで上昇しました。40年国債入札が順調な結果になるなど需給は良好ですが、米国でインフレの減速ペースが鈍化し、利上げ継続観測が徐々に強まる中、米長期金利が上昇してきており、国内の長期金利は低下しにくくなっています。米長期金利の動向や、10年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替上値模索

ドル円は、徐々に上値を模索する展開が見込まれます。世界的にインフレが高止まりする中、米国では6月のFOMCにおいて追加利上げが実施されるとの観測が高まっており、米長期金利が上昇しています。それを受け、ドル円は一時、昨年11月以来の140円台に上昇するなど、堅調な推移となっています。ドル円は、来週の米雇用統計などの重要経済指標を確認しながら、下落余地の乏しい中、徐々に上値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、利益確定売りに加え、日米の長期金利上昇を嫌気した売りなどから、やや軟調な動きになりました。日銀が大規模な金融緩和を継続する中、長期金利の上昇は限定的で、Jリートの分配金利回りに着目した買いや割安感からの買いなどから、戻りを探る展開も予想されます。インバウンド需要の回復期待も下支え材料です。とはいえ、米国の債務上限問題や米利上げをめぐる思わくに振らされることには注意が必要です。

来週の注目点

鉱工業生産指数(4月、速報値) 5月31(水)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は3月に前月比1.1%上昇し、95.9(2015年=100)となりました。業種別では、半導体不足の緩和などにより自動車工業の生産増が続いた一方、半導体集積回路など電子部品の生産が減少しました。

4月の鉱工業生産指数は、前月比で上昇が見込まれます。引き続き部品不足の緩和が自動車生産などの追い風となった模様であるほか、国内景気の回復傾向が鉱工業生産を支えたとみられます。ただ、米欧景気の低迷観測などを踏まえると、当面は緩慢な生産拡大にとどまりそうです。

米雇用統計(5月) 6月2日(金)午後9時30分発表

4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比25万3,000人増となり、また、平均時給は前月比0.5%増となりました。また、失業率は3.4%と、前月から低下するなど、米労働市場が依然堅調であることが示唆されました。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続く中でも、雇用は幅広い分野で増加し、特にヘルスケアや娯楽・ホスピタリティ分野での伸びが顕著でした。労働者への需要は、サービス部門中心に引き続き堅調とみられます。5月の非農業部門雇用者数は前月比18万人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.5%程度を想定しています。

 

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