来週の金融市場見通し(2023年4月17日~2023年4月21日)

■来週の見通し

植田日銀新総裁が強力な金融緩和を続ける姿勢を示したことから、早期の政策修正観測はやや後退しています。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、今年後半から穏やかなリセッション(景気後退)が始まる可能性が示されました。また、3月の米消費者物価指数や生産者物価指数が予想を下回る伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化への警戒が後退し、投資家心理が改善しています。来週は3月の全国・消費者物価指数に加え、本格化する米企業決算なども確認したいところです。

◆株価 :底堅い展開に

日本株は、底堅い展開が予想されます。米国では利上げ停止が近いとの見方が優勢になっていることや、日銀の政策修正観測がやや後退していることなどが、日本株を支える見通しです。ただ、日経平均株価は14日まで6営業日連続で上昇しており短期的な過熱感も意識されていることから、利益確定売りが株価の上値を抑制する場面もありそうです。そうした中、国内外で多数発表される経済指標や、米国企業の決算発表などが注目されます。

◆長期金利 :動きにくい

植田日銀新総裁が強力な金融緩和を続ける姿勢を示し、長期金利をゼロ%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)についても継続することが適当と述べたことから、早期にYCC修正に動くとの観測が後退しています。もっとも、YCC修正については経済・金融・物価に関する基調的な情勢をみて決めるとしており、否定はしていません。翌週に新総裁下での初めての金融政策決定会合を控え、動きにくい状況が続きそうです。

◆為替徐々に下値模索

ドル円は、徐々に下値を模索する展開が見込まれます。米国の主要インフレ指標が米インフレの鈍化傾向を示唆しており、米国の早期利上げ停止期待が高まっています。それを受け、ドル円はじりじりと下値を模索しそうです。また、日銀の金融政策修正期待は依然くすぶっており、ドル円の上値を抑えそうです。とはいえ、株価堅調な中、投資家心理は改善しており、リスク選好の円売りも想定されることから、ドル円急落の可能性は低そうです。

◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る

東証REIT指数は、投資家心理が改善し、やや買いが優勢になりました。FRBによる利上げ長期化観測が後退する中、国内の長期金利も落ち着いた動きになっていることは安心材料です。予想分配金利回りは4.2%を超えており、利回り面からの妙味や割安感からの買いなどから、引き続き底堅い動きが見込まれます。とはいえ、翌週に日銀金融政策決定会合を控え、政策修正への思わくなどから不安定な動きになることには注意が必要です。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(3月) 4月21日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2月に前年比3.1%上昇と、1月の同4.2%上昇から伸びが顕著に鈍化しました。補助金によるエネルギー価格の抑制策を受け電気代が前年比5.5%の下落となったことなどが、コアCPIの伸び鈍化に寄与しました。

3月のコアCPIは、前年比3%程度の上昇が見込まれます。引き続き電気代などの下落がコアCPIの伸びを抑制した一方、生鮮食品を除く食料の値上げなどのため、2%を大幅に超える物価上昇率が続いたとみられます。物価高圧力が根強い中、日銀は今後、新総裁のもとで金融緩和策の修正を検討する可能性がありそうです。

ユーロ圏製造業PMI(4月)  4月21日(金)午後5時発表

3月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.3と前月の48.5から低下し、9か月連続で活動の拡大縮小の境目となる50を下回りました。他方、総合PMIは53.7と前月の52.0から上昇しました。同指数は今年に入り、3か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏では、ロシア・ウクライナ紛争の悪影響が続く中、原材料価格の高止まりなど、製造業を取り巻く環境は依然厳しいものの、サービス業を中心に経済活動は改善しているとみられます。4月の製造業PMIは47.9、総合PMIは53.8程度を想定しています。

 

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