来週の金融市場見通し(2023年4月3日~2023年4月7日)
■来週の見通し
新たに経営危機に陥る金融機関が出ていないことから、欧米の金融システム不安が収束しつつあるとの見方が広がり、投資家心理が回復しています。また、金融不安を背景にした銀行の貸し渋りが米景気を冷やすとの過度な懸念も後退しています。他方、米連邦準備理事会(FRB)高官からは、インフレ抑制のため金融引締め継続に前向きな発言が相次いでいるものの、市場ではFRBが年内に利下げに転じるとの思わくもくすぶります。来週は日銀短観に加え、週末の米雇用統計なども確認したいところです。
◆株価 :底堅い展開に
日本株は、底堅い展開が予想されます。米国の銀行経営に対する不安の後退が、内外の株価を支える見通しです。また、国内では経済正常化の動きに伴い非製造業を中心に緩やかな景気回復傾向が続くとみられることも、日本株の追い風となりそうです。ただ、米国の銀行経営や金融政策などについては依然として不透明感が強いことに加え、日銀の政策修正をめぐる思わくが交錯していることから、株価の一方的な上昇は想定しにくい状況です。
◆長期金利 :引き続き居所を探る
欧米の金融システム不安が収束しつつあるとの見方から、安全資産とされる国債を買う動きが後退し、長期金利は0.3%台に上昇しました。FRBが金融不安に配慮して金融引締めを弱めるとの見方も後退しており、米金利とともに国内金利も低下しにくい状況です。日銀による政策調整への思わくもくすぶります。日銀の総裁交代を控え、動きにくそうですが、10年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 :方向感乏しい
ドル円は、方向感の乏しい展開が見込まれます。米金融不安が和らぎつつある中、米長期金利は緩やかながら上昇しており、ドル円の下落余地は限定的とみられます。他方、米金融不安が依然くすぶっていることに加え、米景気後退懸念も根強く、米利上げ継続期待は低下しています。それを受け、ドル円の上値も重そうです。来週末に米雇用統計を控えていることもあり、様子見姿勢が強まる中、ドル円は方向感の乏しい展開となりそうです。
◆Jリート :一進一退の中、上値を探る
東証REIT指数は、長期金利の上昇は重しも、欧米の金融不安が和らぎ、投資家心理が回復したことから、買いが優勢になりました。株価純資産倍率(PBR)に相当するNAV倍率は1倍を下回っており、依然として割安な水準です。予想分配金利回りは4.2%を超えており、長期金利を差し引いても高い水準です。新型コロナの感染拡大が収束しつつある中、利回り面での妙味や割安感からの買いが強まると、上値を探ることも想定されます。
■来週の注目点
日銀短観(3月調査) 4月3日(月)午前8時50分発表
昨年12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス7、同・非製造業がプラス19と、9月調査に比べ、それぞれ1ポイントの悪化、5ポイントの改善となりました。製造業は資源高などに圧迫された一方、非製造業では新型コロナウイルスの影響緩和に伴い宿泊・飲食サービスなどの景況感が改善しました。
3月調査の業況判断DIは、大企業・製造業についてはコスト高に加え海外景気の減速が重しとなり、悪化が続くと見込まれます。一方、同・非製造業については引き続き改善が見込まれるものの、物価高が家計を圧迫する中、小幅な改善にとどまる可能性が高そうです。
米雇用統計(3月) 4月7日(金)午後9時30分発表
2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比31万1,000人増となり、また、平均時給は前月比0.2%増(前年比4.6%増)と前月より伸びが鈍化しました。また、失業率は3.6%となり、前月から上昇しました。米労働市場が依然堅調であり、引き続き賃金上昇圧力が強いことが示唆されました。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続く中でも労働者への需要は、娯楽・ホスピタリティ、小売り、医療など、サービス部門中心に依然旺盛とみられます。3月の非農業部門雇用者数は前月比24万人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.6%程度を想定しています。
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