来週の金融市場見通し(2023年2月20日~2023年2月24日)

■来週の見通し

1月の米消費者物価指数(CPI)に続き、1月の米生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びを示し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが継続するとの観測が強まっています。他方、日銀の次期総裁として政府が提示した植田氏が24日に衆院で所信聴取に臨む予定です。しばらくは、米金融政策に加え、新総裁下での日銀の金融政策をめぐる思わくに振らされる動きが続きそうです。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、1月の全国・消費者物価指数(CPI)なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国のインフレや追加利上げに対する警戒感や、日銀の政策修正をめぐる不透明感が、日本株を圧迫する見込みです。日経平均株価は昨年末比で5%超の上昇となっており、利益確定売りに押される場面もありそうです。ただ、米国の金利上昇を受けたドル高・円安が輸出関連株などを下支えする見通しです。そうした中、内外の経済指標や、次期日銀総裁・副総裁候補の所信聴取などが注目されます。

◆長期金利 :植田氏の所信聴取待ち

米CPIやPPIが市場予想を上回り、米長期金利がインフレ圧力の根強さから上昇する中、国内の長期金利は日銀が許容する上限の0.5%に張り付いた動きが続いています。ただ、5年国債入札などは順調な結果で、他の年限の債券需給は悪くない状況です。来週24日午前に予定されている所信聴取で植田氏は、金融緩和を継続する姿勢を示すとみられますが、政策修正への思わくが浮上すると、不安定な動きになる可能性があります。

◆為替堅調

ドル円は、堅調な展開が見込まれます。1月の米雇用統計や米CPI、PPIなどの経済指標が市場予想を上回る中、米長期金利が上昇したことを受け、ドル円は134円台後半まで上昇しています。足元、複数のFRB高官からタカ派発言が相次いでおり、米利上げ期待がさらに高まれば、135円を超える展開も想定されます。来週は米個人消費支出(PCE)などの重要指標を確認する必要があるものの、ドル円は堅調な展開が続きそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、一進一退の中、底堅い動きが続いています。米国では早期の利上げ停止や利下げ観測が後退しており、長期金利が低下しにくくなっていることは重しになりそうです。また、植田氏の所信聴取で政策修正への思わくが浮上し、市場が不安定な動きになることにも注意が必要です。とはいえ、予想分配金利回りは4.1%台と相対的に高い水準にあり、利回り面や資産価格と比べた割安感からの買いが、引き続き下支えしそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(1月) 2月24日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は昨年12月に前年比4.0%上昇と、41年ぶりの大幅な伸びになりました。電気・ガスや生鮮食品を除く食料の価格上昇がコアCPIの伸びに寄与したほか、家具・家事用品、被服・履物など幅広い費目が値上がりを示しました。

1月のコアCPI上昇率は、前年比4.2%程度に伸びが加速する見込みです。引き続き資源高や円安に伴うエネルギーや食料の価格上昇がコアCPIを押し上げたとみられます。なお2月以降、補助金による電気・ガス料金の値引きなどでコアCPIの伸びは鈍化すると予想されますが、2%を大きく上回る伸びは当面続く見通しです。

米個人消費支出(1月) 2月24日(金) 午後10時30分発表

昨年12月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%減となりました。PCE総合価格指数は前年比5.0%上昇となり、また、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同4.4%上昇となりました。両指数とも前月から伸びが鈍化し、米インフレの鈍化傾向が示唆されました。

米国では、依然堅調な労働市場が消費を下支えしており、サービス分野の消費が依然旺盛とみられる中、1月のPCEは前月比1.0%増程度が見込まれます。また、PCE総合価格指数は前年比4.9%程度、コア指数は同4.3%程度の伸びとなりそうです。

 

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