来週の金融市場見通し(2023年1月30日~2023年2月3日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、「労働力需要や支出、インフレがあとどれくらい鈍化すれば今春に利上げを一時停止できるか議論を開始する可能性がある」とウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えたことを受け、米利上げが近く停止される可能性が意識されています。来週のFOMCでは0.25%の利上げと、利上げ幅が前回から縮小するとみられますが、利上げ停止に関して何らかの示唆があるか注目されます。決算発表に加え、米雇用統計なども確認したいところです。

◆株価 :やや不安定な展開に

日本株は、やや不安定な展開が予想されます。米欧の金融政策決定会合、日米決算発表、主要国の経済指標の発表が相次ぐ中、それらの結果や思わくで、株価が上下に変動する場面が増える見通しです。特にFOMCで利上げの早期停止が示唆されれば内外の株価を支えるとみられる一方、金融引締めの継続が強調された場合は株価を圧迫しそうです。日経平均株価は1週間で約800円上昇したため、利益確定売りに押される場面もありそうです。

◆長期金利 :0.50%を試すか

長期金利は前週に日銀が政策修正をせず、金利上昇を抑制する姿勢を示したことから、0.40%を挟んだもみ合いが続いたものの、大規模な金融緩和策の修正への思わくは根強く、週央以降はじりじりと上昇する動きになりました。1月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年同月比4.3%上昇と41年8か月ぶりの高水準となる中、来週の10年国債入札が弱い結果となった場合には、再び0.50%を試すことも想定されます。

◆為替様子見で動きづらい

ドル円は、来週にFOMCを控えていることに加え、1月の米雇用統計の発表や日銀新総裁人事の公表が近づいており、動きづらい状況が続きそうです。米労働市場は依然堅調とみられるものの、米インフレが鈍化傾向にある中、米景気の減速感が強まっていることから、米長期金利の上昇余地は限定的であり、ドル円の上値も抑えられそうです。来週はイベントを控え、130円を中心とした狭いレンジでの方向感の乏しい推移が想定されます。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、株式市場が堅調な動きになる中、値ごろ感などから、持ち直す動きになりました。長期金利の上昇は重しながら、Jリートの予想分配金利回りは4.1%前後まで上昇しており、長期金利を差し引いても相対的に高い水準です。戻り売りに押される場面もありそうですが、利回り面からの投資妙味や、資産価格と比べた割安感からの買いが下支えしそうです。米利上げ停止期待が広がると投資家心理が上向く可能性があります。

来週の注目点

鉱工業生産指数(12月、速報値) 1月31日(火)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は昨年11月に前月比0.2%上昇し、95.5(2015年=100)となりました。ただ、9月、10月に減少した反動としては、緩慢な回復にとどまりました。化学工業、プラスチック製品工業などが前月比で上昇した一方、生産用機械工業などが低下しました。

12月の鉱工業生産指数は、前月比で低下が見込まれます。欧米などにおける景気減速が、半導体関連などの生産用機械工業や業務用機械工業などの生産を圧迫したとみられます。ただ今後については、中国景気の回復が進んだ場合、鉱工業生産の持ち直しが見込まれます。

米雇用統計(1月) 2月3日(金)午後10時30分発表

昨年12月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比22万3,000人増となり、市場予想を上回りました。また、平均時給は前月比で0.3%増(前年比4.6%増)となり、市場予想を下回るとともに、前月から伸びが鈍化しました。失業率は3.5%に低下し、市場予想を上回る改善となりました。

労働者への需要は依然旺盛であるものの、今後は、米連邦準備理事会(FRB)のこれまでの積極的な金融引締めの影響や米景気の減速懸念から、次第に雇用者数の伸びは鈍化する可能性が高そうです。1月の非農業部門雇用者数は前月比17万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.6%程度を想定しています。

 

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