来週の金融市場見通し(2023年1月23日~2023年1月27日)
■来週の見通し
日銀は1月17、18日の金融政策決定会合で、長期金利の上限を引き上げるなどの政策修正は行わず、現行の大規模な金融緩和策の維持を決めました。ただ、金融機関に国債購入を促し、国債利回りの上昇抑制、低下を狙った資金供給措置を拡充しました。他方、米国ではインフレ鈍化と景気減速を示す経済指標が相次ぎ、金融引締めペースが和らぐとの観測とともに、景気後退が到来することへの警戒も広がってきています。日米欧の企業決算に加え、1月の日銀金融政策決定会合の主な意見も確認したいところです。
◆株価 :緩やかな上昇か
日本株は、緩やかな上昇が予想されます。日銀の金融緩和策継続を受け長期金利の上昇や円高進行がひとまず抑制されていることが、株価を支える見通しです。また、米国では今後の利上げが小幅にとどまるとの観測も、株式市場の好材料となりそうです。ただ、米国では景気減速が鮮明になりつつあり、企業業績への影響が懸念されます。そうした中、米国の経済指標や日米の決算で低調な結果が相次いだ場合、株価の上値が重くなりそうです。
◆長期金利 :居所を探る
日銀金融政策決定会合で政策修正がなく、許容する長期金利の上限が据え置かれたことや、金利の上昇を抑制するために、一定の担保を裏付けに金融機関に資金を供給する「共通担保資金供給オペ」を拡充したことを受け、長期金利は一時0.36%まで低下しました。その後は0.4%前後での一進一退の動きになりました。しばらくは米長期金利の動きに加え、23日から拡充される「共通担保資金供給オペ」の効果を確認していくことになります。
◆為替 :方向感乏しい
日銀は1月の金融政策決定会合において、金融緩和策の維持を決定しました。ドル円は、日銀の金融政策の修正期待を背景に、下落基調で推移していたものの、その結果を受け、一時131円台半ばまで急上昇しました。ただ、米インフレの鈍化傾向を受け、米長期金利の上昇余地が限定的とみられること、日銀の政策修正期待は根強いことなどから、ドル円は、当面、上値余地は限定的とみられ、レンジ内で方向感の乏しい動きが続きそうです。
◆Jリート :戻りを探る
株価純資産倍率(PBR)に相当するJリートのNAV倍率は0.9倍台と割安感が強まっています。日銀金融政策決定会合後は長期金利の上昇が抑えられていることや、米長期金利も落ち着いた動きになる中、予想分配金利回りは4.1%台後半まで上昇しており、長期金利を差し引いても3.7%超と相対的に高い水準です。日銀の政策修正への警戒は市場の重しになりそうですが、利回り面での妙味や資産価格に比べた割安感が下支えしそうです。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(1月) 1月27日(金)午前8時30分発表
東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は昨年12月に前年比3.9%上昇(改定値)と、11月の同3.6%上昇から伸びが加速しました。生鮮食品を除く食料や、電気・ガスの値上がりなどがコアCPIを押し上げました。
1月の東京都区部コアCPIも、前年比4%程度の上昇が予想されます。引き続き食料やエネルギーなどの価格上昇が、コアCPIの上昇に寄与したとみられます。ただ、原油やガス、穀物などの相場上昇は足元抑制されている上、昨年秋以降、ドル安・円高が進みました。それらを踏まえると、東京都のコアCPI上昇率は今後、緩やかな低下基調に転じる可能性が高そうです。
米個人消費支出(12月) 1月27日(金) 午後10時30分発表
11月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.1%増となり、市場予想をやや下回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比5.5%上昇とほぼ市場予想通りだったものの、前月から伸びが鈍化するとともに、2021年10月以来の低い伸びとなりました。
米国では依然堅調な労働市場が消費を下支えしているとみられるものの、物価上昇圧力の低下とインフレの頭打ちが示唆されました。米景気の後退懸念が広がる中、12月のPCEは前月比0.1%減程度と減少に転じ、また、PCE総合価格指数は前年比で5.0%程度とさらに伸びが鈍化しそうです。
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