来週の金融市場見通し(2022年6月6日~2022年6月10日)
■来週の見通し
4月の米個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比の伸び率が鈍化し、インフレ懸念が一旦和らいだものの、5月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が市場予想を上回り、米国の金融引締めが一段と強まるとの見方が広がるなど、米経済指標に振らされる場面が増えています。来週は5月の景気ウォッチャー調査、企業物価指数、また米消費者物価指数(CPI)など内外の経済指標に加え、7月にも利上げを開始するとの見方が強まっている欧州中央銀行(ECB)理事会も確認したいところです。
◆株価 :底堅い動きか
日本株は、底堅い動きが予想されます。米国の利上げに対する過度な不安がやや後退する中、米国株などに比べ割安感のある日本株を買う動きが広がりそうです。また、円安へ振れていることや、中国における行動制限緩和なども、日本株の好材料となりそうです。ただ、高インフレに伴う米欧の金融引締めや、それによる世界景気の減速への警戒感は依然として強いため、内外経済指標の結果次第では、株価が不安定になる場面もありそうです。
◆長期金利 :狭いレンジ継続
長期金利は狭いレンジでの一進一退の動きが続きました。5月の米ISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、FRB高官から積極的な利上げに前向きな発言が相次いだことから米長期金利が上昇し、国内の長期金利も一時0.24%まで上昇しました。10年国債入札は無難な結果で一定の需要を確認出来た格好です。来週は、米長期金利の動向に加え、5月の企業物価指数や30年国債入札も確認しながら居所を探ることになりそうです。
◆為替 :米雇用統計次第か
5月のISM製造業景況指数が市場予想比で上振れしたことなどを背景に、米長期金利は2.9%台に上昇しています。それを受け、基本的にはドル円は堅調な展開となりそうです。一方で、米インフレ期待のピークアウト感や景気減速懸念もあり、上値余地も限定的とみられます。米景気の先行きを占ううえで本日夜発表の米雇用統計への注目度は高く、その結果次第で米長期金利やドル円は上下に振れる可能性が高く、予断を許しません。
◆Jリート :上値を探る
東証REIT指数は、週初に約2か月ぶりに2,000ポイントを回復した後、2,000ポイントを挟んだ動きが続きました。入国制限が緩和され、外国人観光客の入国も10日から再開されることなどを背景に、経済再開への期待が市場を下支えしている模様です。国内株が持ち直し基調にあり、投資家心理が改善していることも下支え材料です。2,017ポイント程度の200日移動平均を上抜けると、さらなる上値を探る動きが強まる可能性もあります。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(5月) 6月8日(水)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、4月に前月差2.6ポイント上昇の50.4となりました。3月下旬に「まん延防止等重点措置」が解除されたことなどを受け、特にサービス関連や飲食関連などが上昇しました。
5月の現状判断指数も、小幅な上昇が見込まれます。新型コロナウイルスに対する不安がやや和らいでおり、引き続きサービス関連などの上昇が見込まれます。ただ、食品などの値上げが家計を圧迫しつつあるほか、原材料価格や輸送費の上昇が企業収益の重しとなる中、景況感の回復は当面、緩慢なものにとどまる見込みです。
米消費者物価指数(5月) 6月10日(金)午後9時30分発表
4月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.3%の上昇となり、市場予想をやや上回りました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも同6.2%上昇となり、市場予想をやや上回りました。ただ、両指数とも、前月より伸びが鈍化しました。
前月と比較すると、住居費や航空運賃、新車価格などの伸びが主な押し上げ要因ではあったものの、価格高騰は広い分野に及んでおり、食品やガソリン価格の上昇も継続しそうです。5月は総合で前年比8.2%程度の上昇、コアは同5.9%程度の上昇を想定しています。
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