来週の金融市場見通し(2022年5月9日~2022年5月13日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)は5月3、4日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、事前の予想通り0.5%の大幅利上げと、米国債などの保有資産を圧縮する量的引締め(QT)の開始を決めました。パウエルFRB議長が0.75%のより大幅な利上げに否定的だったことを好感し、米国株は一旦大きく上昇しましたが、翌日には大幅反落するなど、不安定な動きになっています。来週は4月の米消費者物価指数でインフレのピークアウト観測が広がるかどうか、また国内企業の決算発表なども確認したいところです。
◆株価 :持ち直しの場面も
日本株は、不安定ながら持ち直しの動きを示す場面もありそうです。日本の連休中、米国の金融政策をめぐる思わくで米国市場は大きく変動しました。ただ、米国の利上げについてはすでに相当程度、市場に織り込み済みとみられます。そうした中、米景気への悲観が和らぐにつれ、内外株価は持ち直しの動きとなる見通しです。ただ、世界的な物価情勢は不確実性が強く、それに関連する指標などにより相場が不安定化する場面もありそうです。
◆長期金利 :上昇は限定的
日銀は、「連続指値オペの運用の明確化」として、長期金利が0.25%を超えないよう国債を無制限に買い入れる指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施することを決めました。米長期金利が3%台に乗せるなど不安定な動きになっていますが、国内の長期金利の上昇は限定的となりそうです。米長期金利の動向に加え、10年国債、30年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 :堅調地合い継続
日銀が連続指値オペの運用を明確化した一方、FRBは5月のFOMCにおいて、市場予想通り0.5%の利上げと量的引締め開始を決定しました。日米金融政策の方向性の違いがより明確になったことを受け、ドル円は引き続き堅調な展開が見込まれます。今後の米国のインフレ動向によっては、一旦遠のいた0.75%の大幅利上げの可能性もくすぶり続けるとみられることから、米国の早期大幅利上げ観測は引き続きドル円を下支えしそうです。
◆Jリート :方向感を探る
東証REIT指数は、1,950ポイントに近づくと押し目買いが強まり押し戻されるものの、2,000ポイント前後では利益確定売りに押され、1,900ポイント台後半を中心にしたボックス圏での動きが続いています。米長期金利が不安定な動きになっていますが、国内の長期金利の上昇は限定的とみられることは安心材料です。株式市場や長期金利の動向に加え、4月のオフィス空室率などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(4月) 5月12日(木)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、3月に前月差10.1ポイント上昇の47.8となりました。ワクチン接種の進展に伴い新型コロナウイルスへの懸念がやや和らぐ中、家計動向関連のうち飲食関連やサービス関連などが持ち直しの動きを見せました。
4月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。感染者数が緩やかながら減少傾向となっており、引き続き飲食関連やサービス関連のほか、小売関連なども改善傾向を示す見込みです。一方、企業動向関連については、ウクライナ紛争を受けた資源高などによるコスト増を背景に、企業の慎重な景況感が示されそうです。
米消費者物価指数(4月) 5月11日(水)午後9時30分発表
3月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.5%の上昇となり、市場予想をやや上回りました。前月に引き続き、食品やガソリン価格の上昇が顕著でした。一方、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同6.5%上昇となり、市場予想をやや下回りました。
緊迫した状況が続いているウクライナ情勢を背景に、食品やガソリン価格の高騰は続く可能性が高い一方、コアCPIについては、やや小休止の見方が出ています。4月は総合で前年比8.1%程度の上昇、コアは同6.1%程度の上昇を想定しています。
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