来週の金融市場見通し(2022年4月11日~2022年4月15日)

■来週の見通し

ハト派の代表格とみられている米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事が、金融引締めに積極的な姿勢を示したことや、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、金融引締めを加速させる姿勢が示されたことを受け、5月、6月のFOMCでの連続の大幅利上げも意識されてきています。来週はFRB高官の発言や米消費者物価指数(CPI)などの経済指標に加え、欧州中央銀行(ECB)理事会や13日からスタートする米銀の2022年1-3月期決算発表なども確認したいところです。

◆株価 :持ち直しの動き

日本株は、持ち直しの動きが予想されます。米国の金融引締めへの警戒感などから日経平均株価は一時大幅に下落しましたが、目先の金融引締めは市場にほぼ織り込み済みとみられます。そのため当面、内外の企業決算や経済指標が注目される中、値ごろ感に着目した買いがやや優勢になる見通しです。ただ、ウクライナ紛争の長期化や、中国における新型コロナウイルスの感染拡大などが依然懸念されるため、株価上昇は緩やかとなりそうです。

◆長期金利 :一進一退

長期金利は一時0.20%を割り込むなど、週前半は低下したものの、その後は米金融引締めが加速するとの観測が強まり、米金利とともに国内の長期金利も上昇する動きになりました。もっとも、日銀が許容する長期金利の上限0.25%までは上昇せず、30年国債入札が強めの結果だったことも手伝い、長期金利の上昇は限定的でした。押し目買いが一段の金利上昇を抑制しそうです。来週は、5年国債、20年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :底堅い中、方向感乏しい

米日金融政策の方向性の違いを背景に、ドル円の底堅い地合いは継続しそうです。しかし、FOMCの議事要旨を受けた米金利の上昇は限定的でした。また、今後0.5%の大幅利上げが複数回行われる可能性や量的引締め(QT)ペースの方針が示唆されたことで、米国の早期金融正常化に関連した当面の材料は相当程度織り込まれたものとみられます。ドル円は底堅い地合いに変化はないものの、やや方向感の乏しい展開となりそうです。

◆Jリート :底堅いものの上値は重いか

東証REIT指数は、一時2,050ポイントに迫ったものの、利益確定売りや日米の長期金利上昇を嫌気した売りなどから押し戻され、2,000ポイントを下回りました。もっとも、3月時点の東京都心のオフィス空室率が2か月ぶりに改善したことは安心材料です。また、経済活動の再開やGoToトラベルへの期待も引き続き下支え材料です。とはいえ、新規感染者数の下げ止まりがみられる新型コロナウイルスの感染動向には注意が必要です。

来週の注目点

機械受注(2月) 4月13日(水)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、1月に前月比2.0%減の8,996億円と5か月ぶりに減少しました。このうち、製造業は同4.8%減、非製造業は同1.9%減となりました。

2月の機械受注は、小幅な増加が見込まれます。製造業、非製造業とも、省力化や情報化などに関連した投資が設備投資を支えている模様です。ただ、国内における新型コロナウイルスの感染継続や、ウクライナ紛争などによる資源高を背景に、内外経済をめぐる不透明感が強まる中、当面、設備投資は緩慢な増加にとどまりそうです。

米消費者物価指数(3月) 4月12日(火)午後9時30分発表

2月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比7.9%の上昇となり、1982年以来の大きな伸びとなりました。前月に引き続き、食品やガソリンなどのエネルギー価格の上昇が顕著でした。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも同6.4%上昇となり、前月から加速しました。

米国におけるコロナ感染の影響やサプライチェーンの混乱が残る中、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、ガソリン価格や他の商品価格が高騰しており、米国のインフレ期待の高進は続きそうです。3月は総合で前年比8.4%程度の上昇、コアは同6.6%程度の上昇を想定しています。

 

 

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