来週の金融市場見通し(2022年3月28日~2022年4月1日)
■来週の見通し
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、今後の会合で必要がある場合には0.25%を超える積極的な政策金利の引上げを行うと、利上げのペースをさらに加速させる姿勢を示しました。また、他のFRB幹部からも、一段の金融引締めに積極的な発言が相次いでいます。他方、主要7か国(G7)は首脳会議でロシアへの追加の経済制裁についての具体案には言及しませんでした。米金融当局者の発言やウクライナ情勢に加え、米雇用統計など内外の経済指標も確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :上値の重い展開か
日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国株の上昇や円安進行などを受け、日経平均株価は約2か月ぶりに2万8千円台を回復したものの、急ピッチで上昇したため、利益確定売りに押される場面が増えそうです。また、ウクライナ情勢をめぐる不透明感も、株価の上値を抑制する見込みです。ただ、米国では利上げにもかかわらず景気拡大が続く見通しであることや、円安圧力は残るとみられることから、日本株は底堅さも示しそうです。
◆長期金利 :日銀にらみ
米利上げペースが加速するとの織り込みが進む中、米長期金利とともに国内の長期金利も上昇し、週末には0.24%と上限とみられる0.25%に接近しました。市場が長期金利の上昇や円安進行に対する日銀の姿勢を試しているとも言えそうです。来週は、日銀があらかじめ指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペを実施し、金利上昇を抑制するかが注目されます。日銀や米長期金利をにらみながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 : 堅調地合い継続
パウエルFRB議長をはじめ、FRB幹部からの相次ぐタカ派発言などを受け、米国の国債利回りが大きく上昇する一方、日銀は金利上昇を抑える姿勢を維持しており、日米の金融政策の方向性の違いを背景に、ドル円は来週も堅調な展開となりそうです。また、原油価格の高騰などのため日本の貿易収支は赤字傾向が続くとみられる中、輸入企業による円売り・ドル買いの動きもドル円の上昇を後押ししそうです。
◆Jリート :上値を探る
米国のインフレ懸念や利上げ観測、ロシアとウクライナの紛争長期化などの不透明感はくすぶるものの、株式市場とともにJリート市場も買い戻しが優勢になり、東証REIT指数は一時約2か月ぶりの水準まで上昇しました。東京都などへのまん延防止等重点措置の解除を受けた、経済活動の再開やGoToトラベルへの期待も下支え材料です。利益確定売りに押されながらも、金利上昇が一服すると、上値を探る動きも出てきそうです。
■来週の注目点
日銀短観(3月調査) 4月1日(金)午前8時50分発表
昨年12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス18、同・非製造業がプラス9となりました。9月調査に比べ、それぞれ横ばい、7ポイント改善と、国内における新型コロナウイルスの感染者減少を背景に、宿泊・飲食サービスなど非製造業の景況感が改善を示しました。
3月調査では、大企業の業況判断DIは、製造業、非製造業とも悪化が予想されます。製造業については、世界的な供給網の混乱継続による部品不足に加え、資源価格の高騰が景況感を圧迫している模様です。非製造業では、年明け以降の感染急拡大を受け、宿泊・飲食サービスなどを中心に景況感の悪化が見込まれます。
米雇用統計(3月) 4月1日(金)午後9時30分発表
2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比67万8,000人増となり、市場予想を大きく上回りました。また、失業率は3.8%と前月から低下しました。2月は前月に比し、飲食やヘルスケアなど、コロナ禍で影響を受けてきたセクターでの雇用が堅調に伸びており、米国の労働市場が強い改善傾向にあることが示唆されました。
米国では、新型コロナの感染者数がピークアウトしたとみられる中、今後も労働市場の改善は継続すると見込まれます。3月の非農業部門雇用者数は前月比45万人増程度、失業率は3.7%程度を想定しています。
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