来週の金融市場見通し(2021年11月22日~2021年11月26日)
■来週の見通し
政府が19日に決定する予定の経済対策では、財政支出が過去最大の55.7兆円となる見込みです。ただ、家計や企業向けの給付などが柱で、経済の押上げは限定的との声も聞かれます。他方、今週末にもバイデン米大統領が発表する米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事では、パウエル氏再任の可能性が高そうですが、金融引締めにより慎重なブレイナード理事が指名されると、早期利上げ観測が若干後退する可能性があります。経済指標に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も確認したいところです。
◆株価 :方向感を欠く展開か
日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。国内景気の回復期待などが投資家心理を支えるとみられる一方、米国のインフレ懸念などが内外株価の重しとなりそうです。岸田政権による大型経済対策については、目先の経済効果は限定的と予想されるため、持続的な株高材料とはなりにくいとみられます。とはいえ、米国株と比べた日本株の割安感は強いことなどから、日経平均株価は当面、2万9千円台で底堅く推移する見通しです。
◆長期金利 :国債増発を警戒
7-9月期の実質国内総生産(GDP)速報値が、2四半期ぶりのマイナスとなったことを受け、長期金利は一旦低下したものの、その後は大型経済対策に伴う国債増発懸念から、一時0.08%まで上昇しました。短期国債など期間の短い債券ではなく、超長期国債などが増発される場合には、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。米金利の動向に加え、国債発行計画の変更内容などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 :徐々に上値模索
10月の米小売売上高が市場予想を上回る伸びを示したことなどから、ドル円は一時115円近くまで上昇しました。足元は、米長期金利が1.6%を若干下回る水準で小動きとなる中、ドル円も方向感に乏しい状況です。しかし、米国の早期利上げ観測は根強い状況であり、ドル円の堅調地合いは継続すると見込まれます。とはいえ、これまでの上昇が急であったことから、今後は調整を経ながら、徐々に上値余地を模索する展開が見込まれます。
◆Jリート :底堅いが方向感は出にくいか
東証REIT指数は、2,000ポイント台後半でのもみ合いが続いています。新型コロナウイルスの新規感染が抑制される中、経済活動の再開への期待や、相対的に高い分配金利回りに着目した買いは押上げ材料も、利益確定売りにも押され、方向感が出にくい状況です。国債増発に伴う長期金利上昇への警戒感はくすぶるものの、日銀の金融緩和の下、金利上昇は限定的とみられます。GoToトラベルなどへの期待も、市場を下支えするとみられます。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(11月) 11月26日(金)午前8時30分発表
東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、10月に前年比0.1%上昇となりました。特に、「GoToトラベル」が行われた昨年との比較で宿泊費が大幅に上昇したことが、物価指数の上昇に寄与しました。
11月の東京都コアCPIは、前年比0.3%程度の上昇が見込まれます。宿泊費のほか、ガソリン価格などの上昇が物価指数を押し上げる見込みです。なお、東京都の物価指数は全国の先行指数であるため、全国の消費者物価指数も当分、前年比小幅なプラスで推移しそうです。
米個人消費支出(10月) 11月24日(水) 24時00分発表
9月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.6%増と市場予想通りとなりました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比4.4%上昇と前月から伸びが加速しました。9月のPCEについては、コロナ後の経済再開を反映し、サービス分野への消費がさらに増加した模様です。
米国では、10月の米小売売上高が前月比1.7%増となるなど、インフレが高進する中でも堅調な個人消費は継続しているとみられます。10月のPCEは前月比0.9%増程度、PCE総合価格指数は前年比5.1%程度の上昇が想定されます。
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