来週の金融市場見通し(2021年11月15日~2021年11月19日)

2021/11/12

■来週の見通し

10月の米消費者物価指数(CPI)が31年ぶりの大幅な伸びを記録しました。世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱などを背景に、インフレが高止まりするとの見方が広がっています。米連邦準備理事会(FRB)は、物価上昇は一時的との見方を維持していますが、インフレ長期化への警戒も強めています。来週はインフレへの警戒に加え、中国恒大集団の経営危機をめぐる問題などに振らされることには注意が必要です。米鉱工業生産などの経済指標に加え、FRB幹部の発言なども確認したいところです。

◆株価 :底堅い展開か

日本株は、底堅い展開が予想されます。新型コロナウイルスの感染減などに伴う景気回復期待が、株価を支える見通しです。中国不動産大手の経営不安がひとまず和らいでいることも、市場心理の安定に寄与しそうです。また、円安の進行も日経平均株価を押し上げる可能性があります。ただ、世界的なサプライチェーンの混乱やインフレ懸念が株価の重しになるとみられる中、内外の経済指標や企業決算を注視する必要があります。

◆長期金利 :一段の上昇は限定的か

FRB幹部のテーパリング(量的緩和の縮小)の早期終了を示唆する発言を受け、早期の米利上げ観測が再燃する中、10月の米CPIが前年同月比6.2%上昇と、31年ぶりに6%台に乗せたことを受け、米金利の上昇とともに国内の長期金利も0.07%まで上昇しました。インフレ長期化への警戒感がくすぶり、米金利が低下しにくくなっています。国内金利も低下しにくい状況ですが、日銀の大規模緩和の下、一段の上昇は限定的とみられます。

◆為替 :徐々に上値模索

10月の米CPIが市場予想比で大きく上振れたことから、インフレ懸念が高まり、米長期金利は一時1.5%台後半まで上昇しました。それを受け、ドル円も113円割れから114円台まで上昇しています。再びFRBによる早期利上げ観測が高まっており、ドル円は来週も堅調な動きが継続しそうです。とはいえ、これまでの上昇が急であることから、米長期金利の動きをにらみながら、徐々に上値余地を模索する展開が見込まれます。

◆Jリート : 高値もみ合い

東証REIT指数は、週初まで4営業日続伸しましたが、利益確定売りに加え、米金利上昇を嫌気した売りなどから、やや値を下げる動きになりました。ただ、押し目買いも入り、底堅い推移が続いています。新型コロナの新規感染が抑えられる中、新政権による経済対策、GoToトラベル再開への期待も下支え材料です。もっとも、2,100ポイントに近づくと利益確定売りに押されることも想定され、引き続き高値圏でもみ合う展開が続きそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(10月) 11月19日(金)午前8時30分発表

9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比プラス0.1%と、1年6か月ぶりに上昇しました。ガソリンなどエネルギー価格の上昇や、宿泊料の上昇などがCPIのプラスに寄与しました。

10月のコアCPIは、前年比プラス0.2%程度へ伸びが拡大する見込みです。特に、原油価格の上昇や、円安進行による輸入価格の上昇がCPIを押し上げる見通しです。また、9月末に緊急事態宣言が解除されたことに伴い、個人消費の持ち直しが予想されることも踏まえると、年内は緩やかな物価上昇基調が続きそうです。

米鉱工業生産(10月) 11月16日(火)午後11時15分発表

9月の米鉱工業生産指数は、総合で前月比1.3%の低下、製造業で同0.7%低下となり、両指数とも市場予想を下回りました。原材料や部品の供給不足等、サプライチェーンの混乱が続いていることが影響した模様です。また、鉱工業の設備稼働率は75.2%と、前月から低下しました。

足元、自動車各社は半導体等の部品供給に障害が生じており、生産見通しを下方修正するなど、サプライチェーンの混乱による影響は当面続くものと見込まれます。10月は総合で前月比0.8%程度の上昇、製造業は同0.8%程度の上昇、設備稼働率は75.8%程度を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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しんきん投信「来週の金融市場見通し」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
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