来週の金融市場見通し(2021年10月25日~2021年10月29日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げを織り込む形で、米10年債利回りは1.7%程度、米5年債利回りは昨年2月以来の1.2%台前半まで上昇しています。米短期金融市場では来年6月までの利上げ確率が60%弱、来年中の2回の利上げ確率が75%近くまで上昇しています。31日投開票の衆院選では与党の自民党が議席数を減らすとの見通しも出てきており、国内の金融市場はやや様子見姿勢が強まる可能性があります。米国の7-9月期の国内総生産(GDP)や9月の個人消費支出なども確認したいところです。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。本格化する国内企業決算で、サプライチェーン(供給網)の混乱による影響などを慎重に確認する必要がある中、積極的に上値を追う動きは限られたものになりそうです。また、31日の衆議院選挙をめぐる不透明感も、株価の重しとなる見込みです。とはいえ、米企業決算で市場予想を上回る内容が目立っていることを受け、市場ムードが改善していることが、内外の株価を下支えする見込みです。

◆長期金利 :引き続き米長期金利にらみ

インフレ圧力を背景に米金融政策の正常化が早まるとの見方が広がっていることに加え、衆院選後の大型経済対策に伴う国債増発懸念もくすぶり、国内の金利は低下しにくい状況が続きそうです。だだ、米長期金利は5月以来の水準まで上昇しており、早期利上げをある程度織り込んだとみられます。一段の米金利上昇には、織り込み過ぎとの見方が広がる可能性があります。米金利の動きを確認しながら、居所を探る展開が続きそうです。

◆為替 :高値圏で一進一退か

米金融政策の早期正常化観測の強い中、原油などエネルギー価格の上昇を背景に、米国のインフレ期待が高まっており、米金利は全期間に渡り上昇基調にあります。それを受け、ドル円は来週も、基本的には堅調な展開が続きそうです。とはいえ、これまでのドル円の上昇が急であったことから、利益確定売りなど調整の動きが起こりやすい状況とみられます。当面、ドル円は底堅いながらも、高値圏で一進一退の動きが続く可能性が高そうです。

◆Jリート : 衆院選投開票日を控え一進一退か

週初は、約3週間ぶりに2,100ポイントを回復したものの、その後は相次ぐ公募増資(PO)発表を受け、需給悪化懸念が広がったことや、米金利の上昇を警戒し、売りが優勢になりました。来週は、経済再開への期待や相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから底堅く推移しそうです。米金利の上昇が一服すると買い安心感が広がる可能性があります。ただ、衆院選投開票日を控え、徐々に様子見姿勢が広がることも想定されます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(9月、速報値) 10月29日(金)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は8月に前月比3.6%低下し94.6(2015年=100)となりました。特に、サプライチェーン(部品などの供給網)の混乱を背景に、自動車工業や電気・情報通信機械工業が前月比で大幅減となりました。

9月の鉱工業生産指数も、前月比低下が見込まれます。アジアのサプライチェーン混乱のため、部品不足による自動車の減産などが続いた模様です。ただ、10月以降は、東南アジアでの工場再稼働に伴い部品不足が徐々に和らぐとみられ、鉱工業生産も回復の動きを示す見通しです。

米個人消費支出(9月) 10月29日(金) 21時30分発表

8月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.8%増と市場予想を上回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数も前年比4.3%上昇と市場予想を上回りました。8月のPCEについては、食品や家庭用品など財への支出が堅調だった模様です。

米国では新型コロナの感染拡大がピークアウトする中、引き続き堅調な個人消費が見込まれ、9月のPCEは前月比0.5%増程度が想定されます。また、PCE総合価格指数は、前年比4.5%程度の上昇が想定されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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