来週の金融市場見通し(2021年8月23日~2021年8月27日)
■来週の見通し
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、年内のテーパリング(米国債などを買い入れる量的緩和の縮小)開始が示唆されました。ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が注目されますが、27日(金)午後11時(日本時間)の予定となっており、来週は動きにくい相場が続きそうです。他方、国内では緊急事態宣言の期間が延長されるとともに対象地域が拡大され、景気不安もくすぶります。内外の経済指標やアフガニスタン情勢なども確認したいところです。
◆株価 :軟調地合い継続か
日本株は、軟調地合いが継続する見通しです。日本や東南アジアなどでの新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、景気や企業業績をめぐる不透明感が増しており、投資家の慎重姿勢が優勢になりそうです。また、米中景気の減速懸念や、米国におけるテーパリング観測も株価の重しとなる見込みです。とはいえ、国内におけるワクチン接種の進捗や、日本株は米国株に比べると割安とみられることなどが、株価を下支えする場面もありそうです。
◆長期金利 :様子見
中国の景気減速懸念やアフガニスタンの地政学リスクの高まり、また緊急事態宣言の期間延長や米金利の低下などを受け、長期金利は0.005%まで低下しました。ただ、低下し過ぎとの見方や、FRBによるテーパリング開始が早まるとの観測などから、やや押し戻される場面もありました。テーパリングの開始時期が年内に前倒しされる可能性が高くなる中、来週はパウエル議長の講演を控え、様子見姿勢が広がることも想定されます。
◆為替 :下値模索の展開か
ドル円は、8月11日に110円台後半まで上昇した後、米長期金利の低下などに伴って下落し、足元、109円台後半で推移しています。米長期金利については、世界的な新型コロナ変異株の感染拡大に加え、中国経済の減速懸念が台頭していること、アフガニスタンをめぐる地政学的リスクが高まっていることなどを受け、当面、低下圧力が残る見通しです。これらを背景にドル円は、108円台半ばを目途に下値を模索する展開が予想されます。
◆Jリート : 戻りを探るも方向感は出にくそう
東証REIT指数は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象地域・期間の拡大・延長で、国内経済の回復に遅れが出るとの見方が重しになり、上値の重い展開が続いています。もっとも、投資家の押し目買い意欲が根強いことや、長期金利が低位で推移していることは下支え材料です。来週は、パウエル議長がテーパリングについてより具体的な発言をする可能性があります。発言内容を確認するまでは方向感は出にくそうです。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(8月) 8月27日(金)午前8時30分発表
東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、7月に前年比0.3%の低下と、携帯電話通信料の値下げなどを受け、12か月連続の低下となりました(2015年基準から2020年基準への基準改定に伴い、速報値の0.1%上昇から下方改定)。
8月のコアCPIは、同0.2%程度の低下が予想されます。引き続き、携帯電話通信料の値下げなどが指数の低下に寄与する見込みです。足元、原油価格が下落基調となっていることも踏まえれば、今後も当面、東京都区部のコアCPIは、前年比で小幅な低下が続く見通しです。
米個人消費支出(7月) 8月27日(金) 21時30分発表
6月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.0%増と市場予想を上回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比4.0%上昇しました。PCEについては、新型コロナのワクチン接種や経済活動再開の広がりを受け、外食、娯楽などサービス分野や財への支出が拡大した模様です。
引き続きサービス支出を中心に個人消費の拡大が見込まれるため、7月のPCEは前月比0.6%程度の伸びが見込まれます。ただ、米国での新型コロナ変異株の感染拡大が続いていることは懸念材料です。また、PCE総合価格指数は、前年比で6月と同程度の伸びが想定されます。
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