来週の金融市場見通し(2021年8月16日~2021年8月20日)

■来週の見通し

米上院で、1兆ドル規模のインフラ投資法案が可決されたのに続き、子育て支援や気候変動対策などに総額3.5兆ドルを投資する予算決議案が承認されました。ただ、予算決議案については民主党内で意見が分かれており、成立までには紆余曲折がありそうです。他方、国内では新型コロナウイルスの感染が続く中、緊急事態宣言の再延長との声も聞こえてきます。来週は、4-6月期の国内総生産(GDP)速報値などの経済指標に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC、7月開催分)議事要旨なども確認したいところです。

◆株価 :やや軟調な展開に

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。特に国内における新型コロナウイルスの感染急拡大が、株価を圧迫する見通しです。また、衆院解散・総選挙をめぐる政局不透明感も嫌気されそうです。さらに、規制強化による中国株の下落懸念も、日本株の重しとなりそうです。ただ、輸出や設備投資が国内景気を下支えするとみられることや、米国株が堅調な地合いを維持していることから、日本株の下落幅は限定的なものにとどまる見込みです。

◆長期金利 :低位で居所を探る

予想を上回る米雇用者数の伸びや求人件数の増加を受け、米連邦準備理事会(FRB)が米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)に動きやすくなるとの見方から、米長期金利が上昇し、国内の長期金利も一時0.035%と、約1か月ぶりの水準まで上昇しました。その後は、米長期金利の上昇が一服し、国内の長期金利は低下する動きに。FOMC議事要旨や米長期金利の動きなどを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :底堅い動き

先週末に発表された好調な米雇用統計以降、米長期金利が上昇基調となっていることから、ドル円も若干上昇し、110円台で推移しています。市場では9月のFOMCにおいて、テーパリング開始が決定される可能性が意識されており、来週も引き続き底堅い動きとなりそうです。とはいえ、世界的に新型コロナの感染拡大が続いていることから、日米株価が大きく調整した場合、米長期金利の低下を受け、ドル円が下落する可能性もあります。

◆Jリート : 一進一退

東証REIT指数は、前週に約1か月ぶりの高値を付けたこともあり、連休明けは利益確定売りに押されました。もっとも、週央以降は押し目買いも入り、下値は限定的でした。7月時点の東京都心のオフィス空室率が小幅な上昇にとどまったことに加え、米長期金利の上昇が一服し、国内の長期金利も低位で推移していることは安心材料です。とはいえ、新型コロナの感染拡大が続いていることから、高値圏での一進一退の動きが続きそうです。

来週の注目点

GDP統計(21/4-6月期、1次速報 8月16日(月)午前8時50分発表

実質国内総生産(GDP)は、1-3月期に前期比1.0%減(年率3.9%減)と、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などを背景に、3期ぶりのマイナス成長となりました。

4-6月期のGDPは、小幅なマイナス成長が予想されます。東京などを対象に緊急事態宣言が発令されたため、宿泊・飲食などサービスに対する消費の低迷が続いた模様です。とはいえ、省力化などに関連する企業の投資意欲は依然旺盛とみられるほか、米中などの景気拡大に伴い輸出は堅調に推移しています。よって、景気の落ち込みは限定的なものにとどまりそうです。

米鉱工業生産(7月) 8月17日(火)午後10時15分発表

6月の米鉱工業生産指数は、総合で前月比0.4%の上昇、製造業で同0.1%低下と両指数とも市場予想を下回りました。また、鉱工業の設備稼働率は75.4%となり、前月より若干上昇しました。力強い個人消費などを背景に、受注は好調を維持している一方、原材料や半導体など部品の供給不足・出荷遅延等、サプライチェーンの混乱などから生産が抑制されている状況が継続している模様です。

とはいえ、7月は若干の改善が見込まれ、総合で前月比0.5%程度の上昇、製造業は同0.6%程度の上昇、設備稼働率は75.7%程度を想定しています。

 

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