来週の金融市場見通し(2021年4月26日~2021年5月7日)

2021/04/23

■来週の見通し

バイデン米政権が議会に対し、有価証券の譲渡益にかかる富裕層への「キャピタルゲイン課税」について、税率を現行の20%から約2倍の39.6%に引き上げることを提案する見通しと伝わっています。議会で可決されるかどうかは不透明ですが、株式市場にとっては重しとなりそうです。他方、国内では、政府が4都府県を対象に、3度目の緊急事態宣言を発令するとみられ、経済への悪影響が懸念されます。来週は、コロナの動向に加え、内外の経済指標や決算発表、日米の金融政策会合なども確認したいところです。

◆株価 :一旦反発か

日本株は、一旦反発する場面が見込まれます。新型コロナの感染が国内外で拡大しているものの、米中にけん引された世界景気の回復観測は、依然として優勢です。そのため、最近の株価下落はやや行き過ぎとみられる中、買戻しの動きが株価を押し上げると予想されます。ただ、キャピタルゲイン増税をめぐる思わくなどで、米国株がやや不安定になっていることや、4都府県に対する緊急事態宣言の発令などが、日本株の上値を抑制しそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

日米と中国の関係悪化や、東京都などへの緊急事態宣言の再発令への警戒感が広がったことから、長期金利はじりじりと低下する動きになりました。バイデン米政権による富裕層向けのキャピタルゲイン増税への警戒も、長期金利を押し下げた模様です。来週の国債入札は2年債のみで、やや手掛かりに欠けますが、米長期金利が落ち着きを取り戻し、また良好な需給が続く中、国内の長期金利は低位での推移が続きそうです。

◆為替 :上値重い中、神経質な動き

ドル円はレンジ内での取引が継続しそうです。新興国を中心とした世界的な新型コロナの感染再拡大や米国のキャピタルゲイン増税の可能性が報じられる中、リスク回避の動きが優勢となっています。それを受け、ドルも円も買われやすい状況ですが、米長期金利が1.6%を割って低下していることから、ドル円の上値は重く、当面は108円を挟んだ水準で、世界のコロナ感染状況や米長期金利の動きをみながら神経質な展開となりそうです。

◆Jリート :上値はやや重いか

内外で新型コロナの感染が拡大を続ける中、東京などへの緊急事態宣言の再発令は、Jリート市場の重しになりそうです。もっとも、東京都心のオフィス空室率の上昇が続く中でも、Jリートの分配金が安定していることは安心材料です。また、長期金利が低位で推移する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いは根強いとみられます。上値は重いものの、株式に比べた出遅れ感もあり、底堅い推移が見込まれます。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 4月26日(月)・27日(火)

今回の金融政策決定会合では、政策の現状維持が予想されます。ただし、会合後に公表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」や、5月6日に公表される3月会合の議事要旨が注目されます。

日銀は、3月18・19日の会合で、より効果的で持続的な金融緩和を実施するための点検を実施しました。具体的には、10年物国債利回りの許容変動幅の拡大や、上場投資信託(ETF)などの買入れ方針の見直しなどを行いました。日銀はそれらの効果を当面見極める姿勢とみられるため、今回の会合では、特段の政策調整を行わない見込みです。ただ、世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大しているほか、米国などでインフレ圧力が高まる中、国内の経済・物価に関する日銀の見通しが注目されます。

米個人消費支出(3月) 4月30日(金) 21時30分発表

2月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.0%減となる一方、PCE総合価格指数は前年比1.6%となり、1年ぶりの高い伸びとなりました。昨年の経済対策による直接給付による個人消費押し上げ効果が薄れ、また、寒波の影響などもあり、消費の勢いは続きませんでした。

しかし3月にバイデン政権による新たな経済対策により、1,400ドルの直接給付が多くの米国民に対して実施されたこと、景気の見通しに大幅な改善が見られることなどから、今後は、個人消費の拡大が見込まれます。それに伴い、物価についても当面、上昇圧力が高まるものとみられます。

米雇用統計(4月) 5月7日(金)午後9時30分発表

3月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比91万6,000人増と市場予想を大きく上回るとともに、昨年8月以来の大幅増となりました。また、失業率は6.0%に低下しました。米国において、新型コロナワクチンの接種が進展する中、経済活動への制限措置が緩和されていることから、労働市場は急速に回復しました。

新型コロナ感染拡大の影響を最も強く受けた飲食などの娯楽・ホスピタリティ分野でも大幅に雇用が増えており、今後もこの傾向は継続するとみられます。4月の非農業部門雇用者数は前月比90万人増程度、失業率は5.8%程度となる見通しです。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

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