来週の金融市場見通し(2021年4月12日~2021年4月16日)
■来週の見通し
米連邦公開市場委員会(FOMC、3月開催)の議事要旨では、雇用と物価の目標の達成にはしばらく時間がかかり、少なくとも現行ペースでの資産購入が続くとの見解が示されました。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレよりも、新型コロナウイルスの変異株の感染増加への警戒感を示しました。他方、国内では政府が東京都、京都府、沖縄県に「まん延防止等重点措置」を適用する見込みです。内外の経済指標や米企業の決算発表、コロナの動向などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :方向感を欠く展開か
日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。米国の景気拡大観測に支えられる一方、国内外での新型コロナの感染懸念などが、株価の上値を抑制する見通しです。特に、東京都などに「まん延防止等重点措置」が適用される見通しであることから、国内景気の先行きに対し慎重な見方が広がりそうです。また、米長期金利の動向や、内外の企業決算などを見極める必要もあるため、市場参加者の様子見姿勢が強まる場面が多くなる見通しです。
◆長期金利 :0.10%を挟んだもみ合いか
米国で金融緩和の長期化観測などから、米長期金利が低下したことを受け、国内の長期金利も低下する動きになりました。30年国債入札が順調な結果になったことも長期金利を押し下げました。日銀が4月に続き、5月も国債買入れ額を減額するとの思わくもくすぶり、一段の低下は限定的とみられます。来週は、利付国債の入札は予定されておらず、株価や米長期金利の動向をにらみながら、0.10%前後の水準でもみ合うことになりそうです。
◆為替 :現状水準で方向模索
ドル円は、米長期金利の動向と相関性の高い状況が続いています。米長期金利は依然、上昇基調にあるとみられますが、足元は1.6%台前半まで低下し、やや方向感の乏しい状況です。ドル円も109円程度まで下落しており、当面は、現状水準で方向感を模索する展開が見込まれます。ただ、来週は米消費者物価指数や米小売売上高など重要指標の発表が控えており、米長期金利が上昇を再開した場合は、ドル円も再び堅調推移となりそうです。
◆Jリート :スピード調整に注意
景気回復期待から投資家心理が上向く中、株式市場に比べた出遅れ感も手伝い、東証REIT指数は2,050ポイントを上抜けました。予想分配金利回りは3.5%程度まで低下したものの、内外で金融緩和が長期化する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いは根強そうです。株式市場の上値が重くなると、Jリート市場に資金が向かう可能性もありそうです。もっとも、急伸していることから、スピード調整が入ることには注意が必要です。
■来週の注目点
機械受注(2月) 4月14日(水)午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、1月に前月比4.5%減の8,417億円となりました。このうち、製造業は同4.2%減、非製造業は同8.9%減となりました。
2月の機械受注は、1月に減少した反動もあり、小幅な増加が見込まれます。1月に緊急事態宣言(3月に解除)が発令されたものの、世界景気の回復観測などが受注を支えている模様です。ただ、国内では、新型コロナの感染増などで景気の先行きをめぐり不透明感が強まっているため、大幅な受注増は見込みにくい状況です。
米小売売上高(3月) 4月15日(木)午後9時30分発表
2月の米小売売上高は前月比3.0%減となり、市場予想を大きく下回りました。全米が大寒波に襲われたこと、また、テキサス州など一部で大規模な停電が発生したことなどから、小売業の活動が妨げられたことが要因とみられます。特に自動車ディーラーの販売が落ち込みました。
2月の減少は一時的なものであり、ワクチン接種が進展する中、追加経済対策に盛り込まれていた個人への直接給付や失業保険上乗せ給付が家計の需要回復に寄与するとみられ、個人消費は今後、拡大する見通しです。3月の同指標は前月比5.2%増程度が見込まれます。
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