来週の金融市場見通し(2021年1月18日~2021年1月22日)

2021/01/15

■来週の見通し

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、国内では1都3県に加え、7府県に緊急事態宣言が発令されました。対象を絞った要請となっており、経済への影響は限定的とみられますが、感染拡大が沈静化するかは予断を許さない状況です。他方、20日に第46代米大統領に就任するバイデン氏は、1兆9,000億ドル規模の追加経済対策を打ち出し、早急な成立を訴えました。米新政権の政策運営に加え、新型コロナの感染動向や内外の経済指標、日銀金融政策決定会合での黒田総裁の発言なども確認したいところです。

◆株価 :利益確定売りに押される展開か

日本株は、利益確定売りに押される展開が予想されます。昨年11月以降、新型コロナのワクチンや米国の追加経済対策への期待などから、日経平均株価は大幅に上昇しています。ただ、国内では緊急事態宣言の対象地域拡大などを受け、景気の先行き不安が強まっています。また、米経済対策については実効性が定かでなく、期待が先行し過ぎている可能性もあります。それらを背景に、日本株は、利益確定売りが出やすい状況とみられます。

◆長期金利 :米金利動向にらみ

バイデン米次期政権による巨額の財政支出への思わくから米長期金利が上昇し、国内債も売りが優勢(価格下落、利回り上昇)になったものの、緊急事態宣言の対象地域拡大を受け、経済の下押しへの警戒も強まり、安全資産とされる債券を買う動きから、長期金利の上昇は限定的でした。来週は、米金利の動きをにらみながら居所を探ることになりそうです。日銀金融政策決定会合での経済見通しや黒田総裁の発言も確認したいところです。

◆為替 :レンジ内推移

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、早期のテーパリング(債券購入の減額)などを議論する時期ではないと示唆したことから、ドル円は弱含んでいます。とはいえ、今後、バイデン新政権による追加の経済対策とそれに伴う国債増発が見込まれ、米長期金利は当面、1.0~1.2%程度のレンジ内での推移が想定されます。それを受け、長期的には下落見込みのドル円も、しばらくはレンジ内での方向感の乏しい展開が続きそうです。

◆Jリート :一進一退

緊急事態宣言の対象地域拡大を受け、経済活動の停滞懸念が広がり、Jリートはやや売りに押されましたが、米国での大規模な経済対策への期待などから、下値は限定的でした。Jリートの予想分配金利回りは依然として4%を上回っていることは下支え材料です。新型コロナの感染拡大に歯止めがかかり、ワクチン普及にめどが立つと、安心感が広がることが想定されます。それまでは、一進一退の中での、底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

貿易統計(12月) 1月21日(木)午前8時50分発表

11月の輸出は、欧州向けの自動車などが減少し、前年比4.2%減となりました。また、輸入は原粗油などが減少し、同11.1%減となりました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、3,661億円の黒字となりました。

12月の貿易収支も黒字が見込まれるものの、黒字額は縮小する見通しです。新型コロナウイルスの感染拡大を受け各国で活動制限が強まる中、特に欧州向けの輸出が低調となりそうです。一方、原油価格の上昇を受け、輸入の減少は小幅にとどまる見込みです。とはいえ、アジア向けなどの輸出は底堅いと予想されるため、当面、貿易収支が大幅な赤字となる可能性は低いとみられます。

ユーロ圏製造業PMI(1月)  1月22日(金)午後6時発表

12月のマークイットユーロ圏総合PMIは、49.1と前月から上昇したものの、活動の拡大縮小の境目となる50を2か月連続で下回りました。一方、製造業PMIは55.2と前月より上昇しました。製造業は昨年の7月以来50を超える状況が続いており、堅調な回復を見せています。

製造業PMIは、外需の回復も見られることから今後も堅調な推移が見込まれる一方、ユーロ圏の新型コロナの感染状況は引き続き深刻な状況であり、行動制限も続いていることから、サービス業の回復は進んでおらず、今後も総合PMIは緩やかな回復ペースが想定されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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