中国に対する楽観の度合い
今週の国内株市場ですが、日経平均はやや売りが優勢な場面が多く、伸び悩んでいるような値動きとなっています。ただ、テクニカル分析面で見ると、日経平均は先週末に上抜けてきた25日移動平均線がサポートとして機能していることもあり、これまでのところ堅調さは維持している印象です。
確かに相場は崩れてはいませんが、足元の株価は上値が重たくなっているのも事実です。そうさせているのは再浮上してきた世界景気の減速懸念で、週初の21日に公表された、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しと中国のGDPがきっかけとなりました。IMFは2019年の世界経済成長率予想を3.5%と、前回(昨年10月)時より下方修正したほか、中国の実質GDPについても、2018年通年で前年比6.6%と28年ぶりの低い伸びになっています。
とはいえ、最近までの株式市場は、中国に対する楽観的な見方を理由のひとつにして戻り基調を辿ってきました。米中関係では、実務者協議の開催などで摩擦緩和への期待が高まっていたほか、中国景気の減速懸念についても、当局による経済政策が景気を支えると見做されて来ました。
特に中国の経済政策については、預金準備率の引き下げをはじめ、インフラ建設の前倒し実施、自動車・家電購入に対する補助金やすでに実施している減税の継続と追加検討など、矢継ぎ早に打ち出しており、それだけにさらなる景気減速に歯止めを掛けようとしている当局の意図が感じられます。さらに、米中関係の改善が加わってくれれば、株式市場にとって追い風になりそうですが、実はそこまで楽観的な相場展開にならないかもしれません。
リーマンショック直後の2008年に中国は4兆元規模の経済政策を実施しましたが、これによって中国経済は息を吹き返したものの、副作用とも言える債務問題は現在も課題として残っています。そのため、短期的なGDP押し上げ効果はありそうですが、中長期的に債務問題が深刻化していくことになります。また、かつての日本のように、多くの債務を抱えている状況での減税政策はあまり消費が伸びない傾向があります。
また、米中関係についても摩擦が燻り続ける可能性が高いと思われます。もちろん、協議進展によって、対米黒字の解消に向けた動きはありそうですが、問題の本質は通商面ではなく、国家情報法や反スパイ法、インターネット安全法など、中国の社会やビジネス環境の障害が中心です。
とりわけ国家情報法には、「いかなる組織および個人も国家の情報活動に協力する義務を有する」という一文が盛り込まれ、関係周辺国から警戒されています。一連のファーウェイ(華為)をめぐる問題についても、この法律を根拠に「ファーウェイが国外ビジネスで得た様々な情報を中国当局に提供されるのではないか?」という懸念につながっていることが背景にあるとされているため、注意が必要といえそうです。
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