ソフトバンクの船出とIPO投資について

2018/12/21

ソフトバンクの船出とIPO投資について

 

2018年相場も残りわずかとなった今週の国内株市場ですが、19日(水)の取引で、日経平均が節目の21,000円割れとなったほか、TOPIXも連日で年初来安値を更新するなど、冴えない展開が続いています。

 

また、ちょうどこの日はソフトバンク(9434)の上場日でした。一日の値動きを振り返ると、初値が1,463円となり、終値も安値引けの1,282円となるなど、公募価格の1,500円と比べてかなり軟調な船出となりました。

 

いわゆるIPOというと、「公募価格に対して初値がいくらで決まるか?」が注目されます。2018年のIPOの状況を整理すると、1219日の取引終了時点で81銘柄が上場したのですが、初値が公募価格を上回った勝率は、7271分でした(ソフトバンクと同じ1219日上場のKudanは買い優勢でこの日に値段がつきませんでした)。2018年のIPOは、全体を通して見れば好調だったと言えますが、ソフトバンクについては残念ながら数少ない「公募価格割れ」銘柄となってしまったわけです。

 

とはいえ、本来のIPO銘柄への投資はここからがスタートになります。上場直後のお祭り騒ぎが終わって株価が一段落した後に、再び上昇できるかが本当の勝負と言えます。リクツの上では、企業の成長に伴って株価が騰がっていきますので、高い成長期待を持っているか、それを達成して行けるかが銘柄選択のポイントです。

 

そのため、IPO銘柄といっても、①「高成長型」、②「低成長型」、③「成長終盤型」、④「将来期待型」のように、大きく4つに分けることができます。①は事業環境や市場の拡大とともに好調な業績が続き、成長期を邁進中の企業、②については①に比べると成長のスピードは遅いものの、着実に業績を積み上げていっている企業、③は上場時にはすでにある程度の成長を達成し、安定期に入ったか、「上場ゴール」と見られる場合もあり、今後の成長戦略が問われる企業、そして④は、まだビジネスとしては成り立っていないが、将来、世の中を変えたり、大きな変化をもたらす技術やノウハウを持つ企業になります。

 

この中で株価上昇への期待がいちばん高いのは①です。とりわけ、新興株市場に上場する企業はまだ規模が小さいものが多く、1年でその規模が何倍・何十倍のペースで拡大していく可能性があります。新興株市場銘柄のPERが高めになっているのはそれだけ成長期待も高いという一面を表しています。また、④は「まだ赤字だが、一発当てるとデカい」的な魅力があります。

 

今週上場したソフトバンクについては③のパターンに該当します。大型上場は非常に注目を集めますが、企業の成長という視点ではあまり高望みしにくく、将来の期待を先取りするよりは、割と早い段階で株価と企業の価値を比べて割安かどうかを判断しながら株価が推移しやすい銘柄と考えられます。IPOに注目して取引する際は、その銘柄が①~④のどのパターンなのかを意識すると良いのかもしれません。

 

 

 

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