あらためて意識したい株式市場の「先行性」
今週の国内株市場ですが、日経平均の値動きは少し慌ただしくなっています。
具体的に見ていくと、週初の10日(月)は一段安でスタート、翌11日(火)も続落しました。ちなみに、この日のTOPIXは年初来安値を更新しています。ただし、続く12日(水)は大幅反発を見せて21,602円で取引を終え、先週末終値(21,678円)近くまで値を戻しています。週末にメジャーSQが控えていることもあり、需給的な思惑や動きが絡んでいることも影響していると思われます。
株式市場は先週あたりから、米中摩擦への不透明感をはじめ、米国の逆イールド(長短金利の逆転)、原油価格の下落傾向など、国内外の景気にとって足かせとなる材料が重石となって、軟調な場面が目立ってきましたが、別の見方をすれば、これからの景気のピークアウトを先取りして下落した可能性があるため、年末に向けて株価を戻す展開もまだ十分にあり得ると思います。
そんな中、今週の10日(月)に国内7−9月期GDP改定値が発表されました。実質ベースでは前期比0.6%減、年率換算では2.5%減という結果となり、速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から下方修正された格好です。生活実感に近いとされる名目ベースでは、前期比0.7%減(速報値は0.3%減)、年率は2.7%減(同1.1%減)でした。
今回の下方修正の結果はあらかじめ予想されていたこともあり、特にサプライズはなく、国内外の経済指標はまだまだ堅調を示すものが多いほか、PER(株価収益率)から見た日本株市場は割安感があるなど、市場には楽観的な見方も多くあります。
とはいえ、ここから先は少し慎重スタンスをとった方が良いのかもしれません。株価は景気の先行指標とされていますが、先ほども触れた通り、金融市場が今後の景気悪化を先行して織り込む側面があります。アベノミクス相場に勢いがあった頃、株価上昇による「資産効果」で景気が上向いた局面がありましたが、今度は先行して下落した株価がもたらす「逆資産効果」で景気の悪化が実現してしまう可能性があるからです。
そのため、年末にかけて株価が上昇していった場合、その視点が「どこまで戻せるか?」にあるため、2018年半ばに上値の目処となった「日経平均23,000円のカベ」が重たくのしかかることになりそうです。
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