波乱の10月相場を振り返る

2018/11/02

月跨ぎとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は今のところ持ち直す動きを見せています。10月末となる31日(水)の取引では21,920円の高値引けとなり、前週1026日の安値(20,971円)からは1,000円近く反発しています。

 

 

日経平均が節目の21,000円台割れが意識される水準まで下げていたことや、TOPIXについても連日で年初来安値を更新していたこともあって、「さすがに下げ過ぎ」、「急ピッチな下落でそろそろ落ち着きたい」という心理が働き、買い戻しが入ったと思われます。

 

とはいえ、株価が底を打ったと判断するにはまだ覚束なく、テクニカル分析的には、先週1024日~25日にかけて空けたローソク足の「窓」を埋めるまで値を戻すことができるかが、ひとつの目安になりそうです。この「窓」の空白の大きさは、1024日の安値(21,911円)と翌25日の高値(21,703円)のあいだの208円ほどですが、ひとまず「窓」を埋めて22,000円台に乗せることができれば相場のムードも一服しそうです。

 

あらためて10月相場を振り返ると、年初来高値を更新し、27年ぶりの高値をつけるなどスタートダッシュを決めていたのですが、その後は下落に転じて前月末比では2,199円安となり、月間の下げ幅は約10年ぶりの大きさで終え、波乱含みの展開となりました。

 

引続き、企業決算が手掛かり材料となっていますが、月初は「好調な企業決算が外部要因による懸念(米中摩擦、中国の景気減速など)を押さえ込んで株価は上昇していく」という強気シナリオだったものが、決算シーズンの本格化を迎える前に、外部要因の懸念によって株価が押し下げられてしまったため、「決算を手掛かりにどこまで株価を戻せるか」に見方が変化したと思われます。

 

10月の相場展開は、企業決算と懸念材料の綱引きの行方は、やや懸念材料の方に軍配が上がりつつあるような印象を与えたと言えます。米中摩擦や、中国の景気減速、米国景気のピークアウト、欧州情勢(英国のEU離脱・イタリア財政・独の政権基盤の揺らぎ)、来年の国内消費増税の影響など、多くの懸念が燻っていることもあり、今後の株価は積極的に上値を追うよりも、下げたところを拾う買い方へ移行しそうです。

 

もちろん、10月の株価下落は懸念材料を過度に織り込んだ面もあり、懸念材料の後退によって、勢いよく株価が戻していく可能性はありますが、その一方で、米中摩擦の影響が企業業績にジワリと影響を及ぼし始めているのも事実ですので、綱引きは引続き11月も続くと思われます。まずは来週6日に控えている米国中間選挙のイベント通過で市場のムードが好転するのか否かが注目されることになりそうです。

 

 

 

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