「対米通商スタンス長期化の覚悟を決めた中国」
2018年の後半戦入りとなった今週の国内株市場は、これまでのところ弱い相場地合いとなっています。日経平均は月初(7月2日)の取引で大きく下落し、節目の22,000円を下回るスタートとなり、以降も下値不安を抱えながらの推移が続いています。
その背景にあるのは米中の通商をめぐる軋轢ですが、このまま進展がなければ、今週末(7月6日)には、いよいよ米国による対中国への制裁関税第一弾が発動されてしまいます。それに対し、中国側も同規模の制裁を行う姿勢を示していて、現時点は制裁関税の発動は避けられそうにないという見方を前提に相場が動いているような印象です。
中国市場に目を向けてみますと、足元で株価(上海総合指数)の下落と通貨(人民元)安が顕著になっています。とりわけ上海総合指数は先月半ばから3,000ポイントを下回っての値動きが続いていますが、この株価水準は2015年のチャイナショック時に、ココを下回ると中国当局が何かしらの手段を講じてきたいわば「防衛ライン」でもあります。
実際に、直近で上海総合指数が3,000ポイントを下回ったのは6月19日なのですが、以降の中国当局は、預金準備率の引き下げを実施したり、人民元安に対して容認するような反応を見せたり、企業債務の株式化を促進すると改めて強調したり、所得減税を含む税制改革を議論していることを明らかにしたりなど、3,000ポイントを割れてからの動きが活発化しています。
本来であれば、米中の通商交渉が少しでも前進させることが市場にとってプラスに働くのですが、こうした中国当局の動きは、どちらかと言うと交渉が長期化したり、拗れたりした際に備える動きのように見えます。そのため、米中関係は持久戦モードに突入した可能性があります。
ただ、持久戦はガマン比べでもあります。その怖いところは、相手を早くギブアップさせようと、お互いにプレッシャーを与え続けて、エスカレートする事態になってしまいかねない点です。また、上海総合指数の下落基調は最近の動きではなく、1月下旬から結構長く続いていて、景気減速懸念も燻っています。
経済指標などのデータだけではよく分からない事が多い中国経済ですが、ガマン比べとなった米国に対する姿勢が今後どのように変化していくのかによって、中国経済の温度感を探るヒントになるのかもしれません。
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