上昇基調の一服は押し目買いの好機か?
今週の国内株市場ですが、日経平均は週初に23,000円の大台に乗せたものの、以降は上方向への推進力が弱まるような値動きを見せています。
これまでの日経平均が順調に値を戻してきたことや節目の達成感を踏まえると、上昇一服や多少の調整があってもおかしくはない状況です。そのため、今後の株価が下押しする場面があったとしても、一般的なセオリー通りであれば押し目買いの好機だと言えます。ただし、次の押し目買いについては少し注意が必要かもしれません。
まずは、株価上昇の材料となる燃料不足です。日経平均の株価水準は、1月の高値(24,129円)と3月安値(20,347円)の下げ幅の「3分の2戻し(22,869円)」をクリアしてきましたが、「全値戻し」には23,000円と24,000円のハードルを超える必要があります。さらに、国内企業の決算発表が一巡し、手掛かり不足のタイミングでは、米国株市場の影響を受けやすい相場地合いになることが多く、決め手に欠けます。
次に、順調な戻り基調の背景が「不安の後退」であることです。具体的には、米長期金利の上昇や米中の通商を巡る交渉、地政学的情勢などが挙げられますが、米株市場はFRBの利上げペースなど、金利動向に対して再び敏感になり始めましたし、米朝首脳会談を前にして先日までの友好ムードに陰りが出始めてきました。さらに、米中の通商交渉でも、貿易戦争は避ける方向性に変化はないものの、両者の溝は未だ埋めきれておらず、事態の長期化も視野に入りつつあるような状況となっていて、結局は不安の火種が燻り続けています。
そして、日経平均の値動きが為替市場との連動性を強めている点も重要です。特に足元では円安の進行が株価を押し上げてきた面があります。その円安は米FRBの利上げスタンスを受けた日米金利差拡大観測によってもたらされていますが、利上げペースの継続は、米国経済や企業業績への悪影響が心配されているほか、新興国からの資金流出も懸念されているという面を持っています。実際に、アルゼンチンやトルコなどは資金流出が無視できなくなり、緊急利上げに追い込まれるといったケースも出始めています。となると、現在は利上げペースの加速が警戒されているFRBの金融政策スタンスが一転して「減速するのでは?」に変わる可能性があり、為替市場が円高に向かうかもしれません。
以上の様に、このまま株価の下落基調が続き、軟調な局面がしばらく続くシナリオが浮上する可能性があります。また、株価の戻り具合という視点で捉えるとつい見落としがちになりますが、じつは足元の株価水準は昨年末(大納会)の終値(22,764円)辺りで、昨年末来でプラスかマイナスかというところに位置しているため、相場の強さが試されるのはこれからとなります。
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