習近平氏「一強体制」は吉か凶か?
今週の国内株市場ですが、祝日を挟んでいたことや、国内外の政治的動向、G20や米FOMCといったイベントが控えていたこともあって、日経平均は慎重な値動きが続いています。とりわけ、米国の保護主義的な政策スタンスや、学校法人への国有地売却をめぐる問題で揺れる国内政治については、その行方がどう転ぶのか不透明なこともあって、様子を見ながら動かざるを得ない面があると言えます。
また、政治面といえば、今週の20日(火)に、中国の全人代(全国人民代表大会)が閉幕しました。全人代は日本でいう国会に相当し、毎年3月に開催されるのですが、今年はその期間が16日間と例年の10日に比べて長かったことが話題になりました。その理由は報道にもある通り、憲法の改正を通じて国家主席・副主席の任期(2期10年)を撤廃することによって、習近平氏の長期政権体制を確立することです。
実際に11日に憲法改正案が採択され、その後の全体会議(19日)にて、国務院(政府)の閣僚メンバーや中国人民銀行(中銀)の総裁などが決定されました。国家副主席には、年齢制限で政治局常務委員を退いていた王岐山氏が就任し、名実ともに「チーム習近平」の2期目がスタートしたことになります。
習近平氏による一強体制はいわば「諸刃の剣」です。一人に権力が集中することで強力に政策を推し進めることが可能になる反面、判断を誤ったときにブレーキ役がいないため、取り返しがつかなくなる事態も起こり得ます。そもそも、これまで中国の権力集中に制限がかかっていたのは文化大革命の反省があるからです。また、長期的には習近平氏が権力の座を降りる際に、スムーズに後任者に権力移譲が出来ていないと政治的な混乱を招く可能性もあります。さらに、今回の一強体制の確立は、「そうせざるを得ない」状況だったことも認識しておく必要があります。習近平氏が人民の支持を得てきたのは、高官ですら容赦しない厳しい汚職撲滅運動が背景にあります。これまでに多くの敵を作り、恨みを買ってきたため、権力を手放した時が怖いという事情もあります。
また、普段であれば、全人代の閉幕はあまり話題に上ることはありませんが、最近になって米国から知財権侵害の制裁と称して、中国製品を対象に追加関税を検討しているといった動きが出ているだけに、全人代閉幕後に中国から報復的な動きが出てくるかもしれません。米国が想定している関税対象の分野は通信などのハイテク製品になると思われますが、これらは中国が成長を期待している分野で、収益や雇用が脅かされれば中国経済への悪影響になりかねません。習近平氏にとって最大の課題は、経済と債務問題、そして対米関係です。まずは、米中の通商交渉の行方が目先の注目点になりそうです。
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