「不発弾」リスクは地中に埋もれたまま?
今週の国内株市場ですが、日経平均は先週の軟調ムードが一服し、再び上値をトライする動きとなり、1月17日(木)の取引開始時点で節目の24,000円台に乗せています。日経平均が24,000円台に乗せるのは、取引時間ベースで1991年11月以来、約26年ぶりです。前晩の米国株市場が大きく上昇した流れを受けた格好です。
米株市場では、2018年に入ってからの米NYダウが、1月4日に初めて25,000ドル台に乗せたかと思いきや、1月17日には26,000ドル台も突破し、8営業日で1,000ドル以上も上昇したことになります。同じく、NYダウが24,000ドルから25,000ドル達成までに要した日数が23営業日だったことを踏まえると、上昇ピッチはかなり早いと言えます。
米国株上昇の背景には企業業績への期待があります。すでに米国では決算シーズン入りしていますが、拡大が続いている国内外の景気に加え、昨年末に成立した税制改革法案の効果を期待する動きが後押ししています。日本でも来週から企業決算発表が本格化し、業績の上振れがどのくらいになるのかがポイントになりますが、日本株については、足元の為替が1ドル=110円台前半まで円高が進んだ場面があったことも影響し、米国株と比べるとやや出遅れている印象があります。
その円高の要因のひとつになったのが日銀の動向です。先週、超長期国債の買い入れを減額したことをきっかけに、金融政策スタンスの方針転換への警戒が高まりました。企業決算と同じく、来週予定されている日銀金融政策決定会合(1月22日~23日)後の黒田総裁の記者会見が注目されます。
もっとも、日米ともに年初から急上昇していることもあって、近いうちに調整局面が訪れそうなことは想定できますが、リスク面にも目を向ける必要があります。昨年(2017年)は、「政治の年になる」と言われ、トランプ大統領の政権運営や、仏大統領選挙をはじめとした欧州情勢、中国の共産党党大会などが相場に悪影響を与えるのではと警戒されたのですが、終わってみれば、好調な世界景気がこれらのリスクを覆い隠したような格好になりました。
2018年の金融市場もそのムードのままスタートしていますが、政治リスクは「不発弾」として地中に埋まったままです。あるタイミングで掘り起こされて、処理に失敗してしまえば大きな損害を被る可能性は残されています。毎年、ユーラシアグループが年初に公表している、「世界の10大リスク」が注目されますが、その中身を見るとほとんどが政治絡みとなっています。
今週末の19日(金)には、これまで3回にわたって延長されてきた米国暫定予算の期限が到来し、再度つなぎ予算が議会で可決されるかが注目されています。延長されないと政府機関の閉鎖などの混乱が予想される事態となるため、何だかんだで可決される見込みとなっていますが、このつなぎ予算の議論が浮上する度に、政府と共和党、民主党の思惑や対立が浮き彫りとなっており、11月の米国中間選挙に向けて次第に政治的な不透明感が高まる可能性もあります。2017年の状況(好調な経済マクロ環境が優勢)がこのまま続かなくなる展開も想定しておく必要がありそうです。
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