リスク要因かもしれないビットコイン市場の盛り上がり
今週の国内株式市場ですが、日経平均は節目の23,000円台になかなか乗せきれない展開が続いています。年末株高に向けてもどかしい状況になっていますが、他の株価指数であるTOPIXや日経JASDAQ平均は終値ベースで年初来高値を更新しており、地味ながらもしっかりした足取りを辿っているようです。9月から11月にかけて株価が急上昇していた頃に比べると、随分と落ち着いてきた印象ですし、「株式市場はバブルなのか?」といった声も、国内外の景況感と企業の稼ぐ力を考慮すれば株価水準は妥当という見方が大勢を占め、最近はあまり聞かなくなっています。
そして、株式市場と主役が交代する格好でバブル論議が浮上してきたのが、仮想通貨であるビットコインです。ビットコインの価格は、年初に1ビットコイン(BTC)=1,000ドルそこそこだったものが、12月に入って2万ドルをつける場面があり、1年足らずで約20倍にまで価格が急上昇しています。あまりの上昇ぶりに、17世紀のオランダで発生したチューリップバブルに例える見方もあるようです。
価格上昇の背景には、既存の通貨に対抗する「世の中を変えるかも知れない」という将来性や、ビットコインは発行上限が設けられているため、デフレ的に価格が上昇する期待、そして、先物市場での取引が始まることで、新規参入する取引参加者の増加が見込まれることなどが挙げられます。先物取引については、今週18日にCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)での先物取引がスタートしました。
ただ、価格が約20倍にまで高騰するほど、ビットコインが通貨として普及しているわけでもなく、匿名性を悪用した事例(マネーロンダリングなど)も多く、技術面(ブロックチェーン)での要となるマイナー(採掘者)が、報酬として受け取るビットコインと取得するのに必要なコストの兼ね合いで儲かりにくくなることで減少していく懸念もあります。マイナーはビットコインの取引データをブロック内で圧縮する際に必要な数値を求め、その報酬としてビットコインを受け取るわけですが、求める数値は大規模なコンピューター施設をフル稼働して計算し、大量の電力を必要とするため、コストが掛かります。そのため、今年に入ってからのビットコインの価格上昇はバブルの印象が強くなっています。
先物取引の登場によって、ビットコインを取引対象とする金融機関やファンドなどの増加が期待されています。ただ、実際にそうなった場合、価格の急激な変動が起これば、先物取引で大きなポジションを取っている投資家が多額の損失を抱えることになり、それを穴埋めするために株式などの他の保有資産を投売りせざるを得なくなる事態も想定されます。
株式市場がバブルでなくても、他の市場でバブルが発生していれば、そのバブルが弾けた際に大きな影響を与えるわけで、ビットコインの先物取引が盛り上がるほど、そのリスクは高まることになります。仮想通貨そのものについて否定的なる必要はありませんが、その先駆けであるビットコインについては、古株ゆえに欠点を多く抱えています。「仮想通貨=ビットコイン」というイメージが根強いですが、今後は別の仮想通貨がビットコインに取って代わるのかもしれません。
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