閉幕した中国共産党大会で気になること

2017/10/27

今週の国内株市場ですが、10月25日(水)の取引で日経平均の連騰記録がついに16日間でストップしてしまいました。17日ぶりの下落ではありますが、10月に入ってまだ一度も下落していなかったことを考えると、改めて凄い連騰記録だったことを感じさせます。

 

急ピッチな上昇だったこともあり、「多少の調整があっても当たり前」という見方は多く、今後は本格的にシーズン入りとなった国内企業の決算などを手掛かりに、再び上昇相場を駆け上がれるかが注目されます。

 

とはいえ、足元の株価上昇の背景にある要因(地政学的情勢の落ち着き・世界景気の好調・国内選挙に絡むアベノミクス継続・海外市場に比べた日本株の割安感・米国税制改革への期待・国内企業の業績上振れ期待など)からすると、相場環境が新たな変化を見せたというよりは、これまでの相場の延長線上にあると考えられるため、一度天井をつけると、しばらくの上値追いが難しくなるかもしれません。

 

少し話は変わりますが、中国では今週24日(火)に共産党大会が閉幕しました。前回も紹介した通り、中国のビッグイベントとして注目された割には大きなサプライズはなく、無難に終わった印象です。新たに選出された「チャイナセブン」と呼ばれる、7人の最高指導部メンバー(政治局常務委員)の顔ぶれもほぼ想定内でしたし、共産党の規約の中に習近平氏の名前が入るということも予め予想されていた通りです。

 

具体的には、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」という言葉が規約に盛り込まれることになります。規約に自身の名前が入るのは、毛沢東氏や鄧小平氏以来になるのですが、鄧小平氏は死後に名前が規約に記載されていますので、習近平氏は毛沢東氏に迫る権威を得たと見ることができ、この事は国内外で大きく報道されています。

 

ただ、個人的に気になったのは、今回改正された規約の中に、中国が描く「一帯一路」という経済圏構想の推進が盛り込まれたことです。これにより、一帯一路構想の政治的な重要性が強まったことを意味し、もっと簡単に言えば「失敗が許されなくなった」ということになります。

 

当然のことながら、一帯一路の経済圏構想は多くの国や地域が関わることになり、中国だけの意思決定で物事が簡単に進むというものではありません。習近平氏が党大会冒頭の演説内でも言及した通り、中国は社会主義強国を目指していることもあって、中国主導のやり方に対して各地で衝突や摩擦が起きることが想定されます。それでも、規約に盛り込まれた以上は、経済合理性を無視してでもやり遂げなくてはなりません。

 

毛沢東の時代、半ば強引に進めた経済政策が失敗したことがあります。1958~1961年にかけて実施された「大躍進政策」と呼ばれるものですが、当時、数千万人という餓死者が出たと言われています。毛沢東に権力が集中し、途中で軌道修正できなかったことが大きな原因とされています。さらに、毛氏は権力を維持するために「文化大革命」を起こしています。

 

先ほどの「チャイナセブン」にもあるように、現在の中国が集団指導体制になっているのは、かつての毛沢東時代のように、個人に権力が集中するのを回避するためなのですが、最近は習近平氏の権力基盤強化に伴い、中国では習氏をヨイショする動きが盛んになっています。習氏への賞賛だらけの中、批判する声は抑制され、かつての毛沢東の時代に近づきつつあるような雰囲気には注意が必要かもしれません。

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