「適温相場」の継続性

2017/07/14

今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の2万円台やサポートとなっていた25日移動平均線を割り込んだ先週末から一転し、2万円台を維持しての展開が続いています。

 

相場の基調はしっかりしていると言えますが、終値ベースでは米国の独立記念日(のタイミングで発表された北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)発射成功を受けて下落した7月4日の高値(20,197円)を抜け切れておらず、上値トライへの意識が高まっている印象はあまり感じられません。

 

注目イベントであるイエレン米FRB議長の議会証言を受けた12日の米国株市場では、NYダウが最高値を更新する動きを見せましたが、13日の日経平均はプラスでスタートしたものの、伸び悩みを見せています。東証1部の売買代金もあまり盛り上がっていません。

 

実際の、イエレンFRB議長の議会証言の内容は特に目新しいものはありませんでしたが、引続き、利上げやバランスシート縮小への意欲を見せつつも、利上げについては、「数年にわたって緩やかに行うのが適切」と発言したことで、流動性相場がしばらく続くと受け止められたことが、米株上昇の背景です。直近の米長期金利の上昇に伴って売られていたハイテク関連株が大きく買われました。

 

冴えない経済指標も散見される中、利上げペースが早まれば、米景気そのものに対する悪影響を心配する声も上がっていたために、結果として米株市場は「適温相場」が継続した格好になります。ただ、日本株にとっては、国内外の金利差拡大観測による円安が一服したことが重石となり、上値が限定的な初期反応となっています。

 

一方のバランスシートの縮小については、イエレン議長は「経済が想定通りなら、年内の比較的早い段階で縮小を開始する」とこれまでのスタンスに変更はありません。利上げについては慎重に行う姿勢を匂わせつつも、バランスシートの縮小については早めに実施したいという印象ですが、イエレン議長の任期は来年2月です。任期中に利上げとバランスシートの縮小を開始して次のFRB議長にバトンタッチしたいという思惑があるのかもしれません。

 

結局のところ、「市場が警戒していたほどFRBは前のめりではなく、無理して利上げを行って、米経済に悪影響をあたえるのではという懸念が後退した」というのがまとめになりますが、利上げのペースをこれまでよりも遅らせると明言したわけでもないですし、バランスシートの縮小は早ければ9月のFOMCで決定されるとの見方もあり、実はFRBの金融政策に対する姿勢が大きく変化したわけではなさそうです。そのため、米株市場が今後も「適温相場」を背景に上昇を継続できるかは微妙なところなのかもしれません。

 

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