中国の外貨準備高が3兆ドル割れ

2017/02/10

今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の19,000円を挟んだもみ合いが続いています。国内企業の決算発表が本格化していますが、相場全体に与える影響は今のところ目立ったものはない状況です。週末に控えた日米首脳会談に対する様子見の方が強い印象です。

 

トランプ大統領の強烈なキャラもあり、視線はどうしても米国に向かいがちですが、お隣の中国では今週7日に、2017年1月末の外貨準備高が中国人民銀行(中央銀行に相当)から公表され、その結果は2兆9,980億ドルとなりました。

 

中国の外貨準備高が3兆ドルを下回るのは2011年2月以来となります。中国の外貨準備高がピークをつけたのは2014年6月の3兆9,900億ドルですが、以降は減少傾向を辿り、約2年半で1兆ドル近く減っていることになります。減少ペースは速いと言えます。

 

中国では資金流出による悪影響が警戒されています。経済成長の鈍化や外国からの投資資金の流入減少で人民元買い需要が低下して人民元安が進み、外貨建て債務を抱える企業などの負担が増加して、さらなる中国経済への鈍化や人民元安となって資金流出が加速するといったように循環的に不安が進行する性質があります。人民元安が何かと注目されるのはこのためです。

 

これに対して中国の通貨当局は人民元安を食い止めるために、人民元買い介入を行っており、それが外貨準備高の減少に現れているというのが一般的な見方になります。そのため、外貨準備高の残高や減少ペースのピッチが速まると、中国当局による対応力の限界が見えてくるのではといった不安につながります。

 

中国は2015年8月に突然人民元を切り下げて、世界のマーケットを混乱させた経緯がありますが、この時も外貨準備高の減少が注目されていた時期でした。となると、再び同じことが起こり得る可能性が浮上してきますが、米国の新政権との政治的緊張感が高まりそうな時期でもあり、より注意が必要になるかもしれません。

 

 

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