不気味な静けさを見せる中国

2016/05/13

大型連休明けとなった今週の国内株市場は堅調な展開を見せています。日経平均は11日(水)の取引時間中に節目の16,800円台に乗せる場面もありました。

ただ、短期間の株価上昇ピッチの割に、市場の受け止め方は意外に冷静です。今週末にオプションSQが控えているため、思惑や薄商いの中で値動きが出やすいこと、足元で本格化している企業業績への見極めムードが背景にあります。高値をつけた11日(水)の日経平均終値(16,579円)は前日比13円高にとどまっており、短期的な過熱感と下値不安も意識されているような印象です。

外部要因に目を向けると、昨年12月から今年2月半ばまでの下落相場の背景にあった「為替(円高)、原油安、中国」の三羽烏は、当時ほどの警戒感は薄れています。もっとも、為替と原油の動向については、足元でも株式市場の値動きに影響を与えていますが、中国については、いわゆる「パナマ文書」絡みの報道が日本でもなされていますが、相場材料としては、3月の全人代以降、あまり話題に挙がることはありません。

確かに、中国上海総合指数の値動きをチェックしてみますと、節目の3,000ポイントを挟んだもみ合いが続いており、大きな変化は見られません。経済指標の結果も、先行きの不安を過度に高めるものでもありません。先週末に発表された外貨準備高は予想外に増え、貿易統計は予想以上に減少するなど、強弱まちまちです。かつて悲観一色だったのが、さほど悪くない経済指標が増え始めたことを評価している状況と言えます。

とはいえ、中国経済は依然として減速感を抜け出せていない状況に変わりはありません。中国経済の最大の問題点は、GDPの約半分が不動産やインフラへなどの「投資」の占める割合が大きいことです。投資の内訳は、(1)製造業への投資、(2)不動産投資、(3)公共投資に分けられますが、(1)への投資については「ゾンビ企業」の整理を目標に掲げているため、こちらは加速することはないと思われます。最近の中国景気の持ち直しは、(2)と(3)の再加速によるものです。(2)については不動産バブルが警戒され、これまで過熱を抑制する方向だったのですが、今年2月に規制が緩和されています。

となると、現在静けさを見せる中国に対して少し不気味さを感じます。昨年夏の「チャイナ・ショック」は記憶に新しいですが、中国発の市場不安は突然やってくることが多いため、常に警戒感を持つ必要がありそうです。

 

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