「日銀プレイ」の後に残ったものは…
連休の谷間となった5月2日の国内株市場ですが、日経平均が節目の16,000円を下回る場面があるなど、軟調な展開となっています。日経平均の下落は、先週木曜日(4月28日)の日銀金融政策決定会合で、期待されていた追加金融緩和が行われなかったことがきっかけとなり、下げが加速しました。為替(ドル/円)も円高が進行しています。
確かに、会合前のマーケットはETF買いの増額や、金融機関へのマイナス金利貸出し策などの観測報道があり、「追加緩和の実施ありき」で株高・円安となっていました。いわゆる「日銀プレイ」と呼ばれる状況です。実際には追加緩和がなかったことで、期待分が剥落したわけですが、日経平均およびドル/円の水準は、日銀プレイ以前の水準を下回ってしまっています。
会合後に開かれた黒田日銀総裁の記者会見では、今回の追加緩和見送りについて、「マイナス金利の効果を見極めるため」というのを理由にしています。また、今後についても、「必要であれば追加的に金融を緩和する措置をとる」という考えを示しています。この言葉を額面通りに受け止めれば、次回(6月)会合での追加緩和に含みを持たせた格好ですが、マーケットの反応を見ると、今のところそのように受け止めてはいないようです。
会合と同時に公表された、「経済・物価動向の展望(いわゆる展望レポート)」では、物価上昇の目標(2%)の達成時期を先送りしました。これまでの日銀の政策実施パターンでは、目標通りに事が進んでいないのであれば、追加緩和を行ってもおかしくはなかったはずです。2014年10月末のいわゆる「黒田バズーカ2」も、原油価格の下落が物価上昇の目標達成に影響を与えかねないために実施したというのが当時の黒田総裁の見解でした。今回、追加緩和が無かったことで、以前より指摘されていた金融政策の限界論が強まりそうです。
また、1月に導入されたマイナス金利についても、(銀行からの)貸し出しを増やして経済を活性化させたいねらいがあったにもかかわらず、資金の多くは貸し出しではなく不動産などの投資に流れました。「g(経済成長率)よりもr(資本収益率)の方が大きい」という、昨年話題になった、トマ・ピケティ氏の著書の内容を地でいく状況となっており、効果よりも金融機関等の運用難といった副作用の方が目立ち、今のところ評判は良いとは言えません。そもそも、「やらない」と言っていたのに、サプライズ的に導入したこともネガティブな印象です。
今回の会合前に噂された、金融機関へのマイナス金利貸出し策についても、黒田総裁は採用に対して否定していますが、マイナス金利導入時のこともあり、次回の会合でどっちに転ぶのかは不透明です。今後も日銀プレイは繰り返される可能性は高いですが、日銀に対する期待と信頼は確実に下がっているように思えます。
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