株価反発と「強気の罠」

2026/04/03

今週の株式市場ですが、日経平均は週初の30日(月)と翌31日(火)に下落が加速したかと思えば、続く1日(水)を迎えると、歴代4位の上昇幅を見せるなど、これまでのところ、「月またぎ」で市場のムードがガラリと変わった印象です。

株価反発の背景には、トランプ米大統領の発言をはじめ、米国とイランの戦闘終結に向けた動きに関する報道が相次ぎ、31日(火)の米国株市場が急反発した流れを受けたことが挙げられます。

ただ、米主要株価指数(NYダウ・S&P500・ナスダック総合)の動きをテクニカル分析で捉えると、それぞれの日足チャートで31日(火)のローソク足は大きな陽線(終値が始値よりも高い線)が出現しているものの、株価よりも上に位置している200日移動平均線を上抜けできておらず、今後も株価の反発基調を続けていけるのかはまだ見極め段階と言えます。

実際に、停戦に向けた交渉が進んでいるような報道がある一方で、米軍がペルシャ湾に展開し、地上作戦の可能性も報じられるなど、「実際のところはイマイチ分からない」状況に変わりはありません。トランプ米大統領が発言した、イランのエネルギー施設攻撃の猶予期間となる4月5日(日)までに動きがあるか否かが目先の焦点になります。

また、株価反発の裏には、「3月相場の下げ過ぎの反動」もありそうです。3月の日経平均は月間ベースで7,787円安となり、1月と2月の上昇分合計の約9割を失うほどの下落になったことや、日米のAI関連銘柄がPERなどの面で割安と言えるところまで株安が進んだこと、そして、イラン情勢を受けてインフレ懸念が高まる中、パウエルFRB議長がインフレ警戒を理由とする利上げを現時点で考えていない旨の発言があったことなども支援材料になったと考えられます。

もっとも、原油先物(WTI)価格をはじめ、金利(米10年債利回り)や為替市場などは、株式市場の上昇の大きさと比べるとあまり動いてはおらず、足元で見せている株価反発はいわゆる「売られ過ぎの反動(リリーフラリー)」が大きく出ている状況と言えます。

そのため、こうした株価反発が「強気の罠(ブルトラップ)かもしれない」という視点は持っておきたいところです。強気の罠とは、株価が強い上昇を見せ、下落トレンドが底打ちから反転していくと思わせておいて、その後に再び下落を強めてしまう値動きのパターンです。

仮に、このまま中東の戦闘が終わっても、ホルムズ海峡が閉鎖されたままでは、スタグフレーション(景気後退とインフレの併発)懸念が続くことになるほか、海峡が解放されても、戦闘中に敷設された機雷などの障害物が存在していれば、安全が確認されるまで船舶の通行は制限されます。

このほか、直近で跳ね上がった船舶保険料が下がるまでに掛かる時間や、さらに、今回の戦闘では、中東諸国のエネルギー関連のインフラ施設が直接的な被害を受けています。特にLNGの製造装置などは、製造できるメーカーが世界に数社しかなく、壊れた施設が復旧するには、想定以上の時間が掛かるかもしれません。

したがって、足元の株式反発は「強気の罠」となる可能性は意外と高く、派手な株価の値動きに振り回されない冷静な視点が求められることになりそうです。

楽天証券株式会社
楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:
  日本証券業協会
  一般社団法人金融先物取引業協会
  日本商品先物取引協会
  一般社団法人第二種金融商品取引業協会
  一般社団法人日本投資顧問業協会