好調に見える米国株市場の微妙な変化
2026年相場が幕を開けて1ヶ月が経とうとしています。今週の米国株市場の動きをチェックすると、28日(水)の取引では、引けにかけて伸び悩んだものの、S&P500やナスダック総合が最高値を更新する場面があるなど、これまでのところ好調を維持しています。
表面的には、昨年からの好調な流れを引き継いでいるように見えますが、そのウラでは、静かに市場を取り巻く環境が「微妙な変化」を見せ始め、注意したいシグナルが点灯しています。
まず、ひとつめのシグナルは、AI相場の質的変化です。これまで相場を牽引してきたのはAI・半導体関連株ですが、その物色対象に入れ替えが起きています。今週発表された決算では、蘭ASMLやアドバンテストといった半導体製造装置、あるいはメモリー関連が好調さを示し、ハードウェアや部品レベルでAI実需の強さが確認されたことで株価も素直に上昇しています。
その一方で、昨年のAI相場の主役のひとつだったマイクロソフトについては、28日(水)の取引終了後に発表した決算を受けて時間外取引で下落する反応を見せており、「ハイパースケーラー」と呼ばれる昨年の牽引役に対しては、財務リスクや収益性、競争優位性などの視点で選別が進んでいる様子がうかがえます。AI相場自体は終わったわけではありませんが、期待先行のフェーズから、「実利」や「財務リスク」を選別する状況へと移行し、これまでのような全面高は期待しづらくなりつつあります。
ふたつめのシグナルは、トランプ・リスクとドル安の進行です。ベネズエラへの軍事作戦やグリーンランド領有を巡る動き、イランへの圧力、韓国やカナダへの関税引き上げ発言といった対外姿勢をはじめ、国内向けには、クレジットカード金利の上限設定や不動産担保債権の買い取りを金融機関に要求するなど、11月の中間選挙を控え、2026年に入ってからのトランプ米大統領の動きが活発化しています。
結果的に、こうした国民アピールが市場の不確実性を高めているほか、トランプ関税の違憲性を巡る最高裁判断待ちという状況や、大統領自身のドル安容認発言も相まって、投資家が「米国離れ」を進めている可能性があります。金(ゴールド)価格の上昇も、こうした先行きの不透明感や世界的なインフレ傾向を受けた通貨の価値低下に対するリスクヘッジの表れという見方があります。
さらに、足元では、米ミネソタ州で移民取り締まりに関わる連邦捜査官が抗議活動中の男性を射殺した事件を発端として政治的対立が生じ、2月以降の予算執行を可能にする歳出法案が米連邦議会上院で週内に可決できない不安が浮上するなど、米国の財政リスクも警戒されており、米10年債利回りが高止まりする中、こうした政治的混乱は米国債への信認を揺るがしかねません。
米国市場では、「1月のS&P500が上昇すれば、89%の確率でその年は年間で上昇する」という経験則があり、1月最終週の今週を上手く乗り切れば、相場のムードは明るさを取り戻すことができそうです。
とはいえ、トランプ米大統領の動向が予測不能なだけに、相場の見据える将来の時間軸が短くなり、株価の足取りが落ち着かない展開が続くことになりそうです。
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