中国株式市場の強さは本物か?上昇の背景と今後の展望
株式市場は9月相場を迎えましたが、国内外の主要株価指数の動向をウォッチすると、中国株が好調なパフォーマンスを見せています。
2024年末からの上昇率は、9月1日時点で香港ハンセン指数が27.7%高、上海総合指数が15.63%高となっていて、日経平均(5.75%高)やTOPIX(9.99%高)、米NYダウ(7.05%高)、ナスダック総合(11.11%高)などと比べても「あたまひとつ」抜け出しているような格好です。
実際に、香港市場経由で売買された中国本土株(ストック・コネクト)の売買代金を見ると、7月と8月に大きく増加していて、海外マネーが中国市場に向かっている様子がうかがえます。
こうした中国株上昇の背景には、中国共産党の重要会議である「4中全会」が10月に開催されることになり、経済政策への期待が高まっていることや、いわゆる「中華AI」対する評価が足元で高まっていることのふたつの要因が挙げられます。
まず、10月開催の「4中全会」では、次の5カ年計画(2026年~2030年)の基本方針が示されることもあり、「大規模な経済対策が出てくるのではないか?」という思惑を呼んでいます。
具体的には、長引く不況の元凶となっている不動産市場への支援策や、財政が悪化している地方政府の救済、AIや半導体といった重点産業の国家的な投資強化、海外からの投資を呼び込むための市場改革や規制緩和などが打ち出されるかが注目されます。
そして、ふたつめの要因となっているのが「中華AI」への再評価です。米中対立を背景に、米国は中国への先端半導体の輸出規制などの圧力を強めていますが、一方の中国は自前のAI開発や先端半導体製造の技術開発を加速させています。
そんな中、中国の大手テック企業のアリババ集団が、米国製半導体に替わる汎用性の高い新型AI半導体を開発したと報じられ、「中国が米国の規制を乗り越えて技術的な自立を果たす一歩を踏み出した可能性がある」受け止められたことで、アリババやテンセントといった大手テック企業をはじめ、国産AIチップメーカーの株価が急騰し、中国株市場のムードを改善させています。
では、この上昇基調は今後も続くのかが気になりますが、まずは、「4中全会」で発表される政策が、市場の高い期待に応えられるか否かが焦点になります。
期待を上回る規模や内容であれば株価はもう一段上昇する可能性がありますが、期待外れに終われば、「噂で買って事実で売る」という相場の格言通り、売りに押される展開も考えられます。また、中長期的には不動産市場の動向がカギを握ります。これまでも中国当局は度々支援策を打ち出してきましたが、現在も市場の底打ちは見えていません。政策への期待感だけで株価が上昇しても、実際に不動産市況が回復しなければ経済は浮上できず、株価上昇は長続きしません。
中国株は良くも悪くも政策動向に大きく左右される特性がありますが、「中国経済全体は不調でも、個別に成長している企業はある」という視点も重要です。話題性だけで安易に飛びつくのではなく、企業業績や将来性を見極め、有望なテーマの中でも「勝ち組」と「負け組」を冷静に選別していく姿勢が求められます。

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