「大規模緩和策発表からまもなく1カ月を迎える中国株はどうなっている?」
今週の国内株市場ですが、これまでのところ、冴えない展開が続いています。日経平均は下落基調が続き、23日(水)の取引時間中には節目の38,000円台を下回る場面も見られました。
先週からの日経平均の動きを見ると、取引時間中に弱含む展開に転じることが多く、テクニカル分析的にも、ローソク足の陰線(終値が始値よりも安い線)が、11営業日連続で出現するなど、相場のムードは良いとは言えない状況です。
今週末に投開票日を迎える衆議院選挙を前に、「予想以上に与党が苦戦している」という観測が相場の重石となっているほか、米国株市場も主要株価指数が高値圏は維持しているものの、利益確定売りに押され、上値の伸びが鈍くなっていることなども積極的な買いを入れにくくさせていると思われます。米国でもいよいよ再来週11月5日の大統領選まであとわずかとなり、決算以外の材料で動きにくくなることも考えられ、日米ともに株価に方向感が出てくるにはもう少し時間が掛かりそうです。
また、中国株市場に目を向けると、今週に入ってからの上海総合指数と香港ハンセン指数がジリジリと値を戻す展開となっています。
一応、株高基調であると言えそうですが、その背景として、軟調な日本株市場からの資金流入なのか、それとも、中国当局の経済政策対応に対する期待感なのかは微妙なところです。
先月24日に大規模な金融緩和策と不動産・株式市場の支援策を発表し、そこから数日間の中国株市場はお祭り騒ぎのように急上昇していましたが、追加の財政政策への期待が後退したことで急落に転じていきました。こうした株式市場の反応を受けてか、中国当局は今月12日に財政政策に関するアナウンスを行い、その後も年内の不動産融資枠の倍増を示唆したり、預金準備率の追加引き下げを示唆したり、今週も21日(月)に最優遇貸出金利の引き下げを実施しています。
仮に、今週の中国株の復調がこうした政策対応への期待であるならば、これだけ矢継ぎ早の政策対応をしているにも関わらず、株価上昇の勢いが限定的にとどまっているということになり、「政策の規模や、根本的な経済の問題への踏み込みが足りない」、「さらなる追加の政策が求められる」といった別の問題が浮き彫りになってしまいます。
先週の中国では、7-9月期のGDP(実質)が発表されましたが、前年同期比4.6%増と、前期(4.7%)から減速しています。また、長引く不動産不況や消費の低迷など、デフレが警戒されている中で金融緩和策を実施しても資金需要が高まらず、緩和策が効果を発揮しない可能性があります。
そのため、中国の景況感に対する警戒感は今後も燻り続けることになり、中国の一大商戦である、来月11月11日の「独身の日」セールの売れ行き具合が目先のヤマ場として注目されそうです。
また、中国では例年12月になると「中央経済工作会議」が開催され、翌年の経済政策の方針を決めるスケジュールになっています。それまでに大胆な財政政策を打ち出してくるのか、もしくは、足元のように小粒の政策やアナウンスを繰り返して、期待感をつなぐ対応となるのかが、中国株の行方を左右することになると思われます。
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