『乱高下後の株式市場は「答え合わせ」の時間を迎える』
8月相場入りとなった日経平均ですが、月初からのわずか3日間の合計で下げ幅が7,600円を超える急落を見せるなど、波乱の幕開けとなりました。特に今週あたまの8月5日(月)には、1987年12月の「ブラックマンデー」を超える史上最大の下げ幅となりました。
その後は、翌6日(火)に今度は市場最大の上げ幅を見せたかと思えば、続く7日(水)の取引も取引時間中にマイナスから大きくプラスに切り返すなど、株価は戻してはいますが、乱高下の激しい値動きが続き、市場が落ち着いてきたとは言い切れない状況です。
こうした株価の急落の背景には、これまで相場を牽引してきた「AI相場」の陰りのほか、日米の金融政策イベントを通過して円高が進行したこと、ここに来て米国の景気減速への警戒感が高まったことなどが挙げられますが、これらはあくまでも「きっかけ」であって、歴史的な株価の下げ幅を説明できるものではありません。
ここまでの下げ幅となった理由としては、円高の進行による悪影響(高水準となっていた「円キャリー・トレード」の巻き戻しが加速したことや、円安効果が薄れて国内輸出企業の業績期待が萎んだこと)のほか、株式市場の先高観を前提としたポジション(信用取引や株価指数先物取引における過度な買いへの偏り)の積み上がりの修正、市場規模におけるインデックス投資の存在感が高まるにつれて二極化(時価総額の大きい銘柄は多く買われることで割高となり、時価総額の小さい銘柄はあまり買われず割安なままとなる)が進んで、市場に歪みが生じていたことの修正、プログラミング売買や高速度取引などが値動きを増幅させたことなど、実は、マーケット側の方に要因があったと言えます。
例えば、米国の景気減速懸念に注目すると、先週発表された米7月ISM製造業景況指数と雇用統計の結果が芳しくなかったことが景気減速への不安を高めて、米国株式市場が下落していきました。米NYダウも8月あたまからの3日間で2,100ドルの下げ幅をなっていましたが、今週になって発表された米7月ISM非製造業景況指数が堅調だったことで、持ち直す動きを見せています。
つまり、「米景気減速の兆しは確かに出始めているが、現在進行形で景気後退が進んでいるわけではなく、株価の下げ幅が示すほどの景気減速になるのかは、これから確認していく」ことになります。
また、日本株は米国の景気後退懸念の当事者でないにも関わらず、米国株以上に下落しましたが、足元の乱高下が落ち着いた後に、再び外国人投資家が日本株を買ってくれるのか、さらに、日米でAI相場が息を吹き返すのかなども、今後の焦点となってきます。
いずれにしても、今回の株価急落は、リーマン・ショック時のような金融危機を伴っているわけでもなく、「相場に対するこれまでの視点の変化や不安の浮上をきっかけに、過度に楽観だった市場の修正を巻き込んだ」ものと考えられます。
そのため、これからの株式市場は、経済指標や企業業績などで「実際のところはどうなのか?」を確認し、また、中長期的な相場シナリオを構築しつつ、株価の落ち着きどころを探っていく「答え合わせ」の動きになっていく可能性が高そうです。
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